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【No.1】遊星からの物体Xがお腹に!(前編)

最初に言っておきますが、私はかなりの阿呆です。

どのぐらいの阿呆かというと、高校生の頃に、今まで運動なんてやったことがないのに、先生の甘言に惑わされて「新体操部」を立ち上げるぐらいです。本当は体が90度より前に行ったことないぐらいカチコチで、「次の部員が入るまでにお前らを鍛えたるー!」という鬼の形相の顧問に追い回されたのは、今となっても良い思い出ではありません。

それはさておき、「ウイルス性胃腸炎」で私は入院したのでした。

その時に物議をかもしたのが、連日の40℃の熱の原因となった「脱水症状」のひどさでした。炎症の度合いが検査数値を振り切っていました。入院先を紹介したくださったK先生のコメントがふるってました。

「普通に何不自由なく暮らしている比較的若い女性です。(先生ありがとう
自宅療養では同じ状況が続くとしか思えず、入院治療をお願いします。しかし、どうしてこのようなことになったのか解せません」

そう蛇口を捻れば水が出るこの国において、なぜにこんなひどい脱水症状があり得るのでしょう。それはひとえに、私が阿呆だからではないでしょうか!

熱だけでなく、全身が痛くて半分意識朦朧として、車椅子に乗せられた私は、その時初めて自分のお腹を見下ろしていつもより分厚いのに愕然としたのです。いや、ずっとなんで気付かなかったのだろう。

遊星からの物体Xのようなものだとしたら、これはさっきのなんとかスキャンに映らなかったのかしら? 見たい!!見たい!!! 好奇心に抗いきれずについに私は尋ねました。

「先生、これは何なんでしょう?」

「それね、あなたの臓器ですよ。炎症を起こして一つひとつの細胞が腫れるとそんな風になりますよ」

そうなのかっ! 戦場の写真などではお腹だけポコンと出ている子供の写真があるけれど、今の私はその状態ということになってしまいます。

社会貢献とか、家族を守るとか言うけれど、自分の体一つ守れていない私は、本物の大馬鹿者です。

「ごめんね~」

涙に濡れて大きなお腹をさすっている私は周りからどう見えていたのでしょうか。

そんなことを考える余裕もなく病室に運ばれたのでした。(続く)

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