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勉強や学習について

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教員として経験してきたことや独学で学んだことをまとめています。 学習や学力向上に役立ててもらえれば幸いです。
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思い出しやすい記憶 と 思い出しにくい記憶

記憶には思い出しやすい記憶 と 思い出しにくい記憶があります。 思い出しやすいのは 学生の頃の思い出 楽しかったこと 悲しかったこと など自ら経験した記憶、いわゆるエピソード記憶といわれているもので、 逆に思い出しにくいものは 知識として丸暗記した記憶です。 エピソード記憶は、 そのときの自分の感情や風景、音、においなど様々な要素が 複合してできた情報の塊として脳に保存されています。 そのため、ふとしたきっかけ(同じような場面に出くわした、同じにおいがした、同じ音楽

授業中の姿勢 座る?立つ?歩く!?

学校の授業といえば、 教室で生徒が黒板に向かって椅子に座り、 机の上でノートをとって学習するというスタイルが普通です。 私自身もこのように学習してきました。 しかし、この普通の状態が果たして最適なのでしょうか? 私たちの脳は原始の時代の人類のものと、さほど変わらず、 脳が最もその機能を発揮するのは 生存、生命に関わる場合であるといわれています。 特に、原始の時代では、 東京タワーなどの目立った目印もない、 方位磁石も地図もない、 そして、危険な野生動物が身近に存在するた

夏休みの勉強の成果

夏休みが終わり、新学期がスタートする時期になりました。 夏休みの間に猛勉強をしたという受験生は全国にたくさんいると思います。 その勉強の成果はいつ現れるのでしょうか? 私の住んでいる地域の中学校では 2学期の始業式の翌日から課題テストを実施する場合がほとんどです。 そこで、早速、腕試しの機会が来たと思い、 この9月最初のテストで夏休みの成果を過剰に期待しすぎることは、 あまりおススメしません。 期待して納得のいく結果が出れば、問題ありませんが、 期待以下の得点であった場合

これでいいのか?全国学力・学習状況調査!?

令和5年4月18日に実施された全国学力・学習状況調査の結果が 7月31日に国立教育政策研究所から公表されました。 私は教員の頃から、毎年チェックし、 素人ながら分析して生徒たちの学力向上に生かせないかと 考えていましたが、結果を見るたびにむなしく感じてしまいます。 データを調べる指標の1つに相関係数というものがあります。 これは、2種類のデータの間には、 どのくらいの関連性があるのかを[-1~1]の間の数値で 表したものです。 相関係数が1に近い場合(0.5より大)  

学習の一夜漬け(徹夜)の効果は?

私は高校生の頃、毎日コツコツ勉強するのが苦手で 定期テストの前日に徹夜して知識を詰め込んでいました。 当時流れていたブンブンリクエスト(ラジオ大阪)や オールナイトニッポンなどを聴きながら 勉強するのがひそかな楽しみで、 あえて一夜漬けを選んでいたようにも思います。 明け方になると 妙な浮遊感と高揚感でハイテンションになり 一気にやる気と集中力が強化され、 それがテストまで持続していたので、 まずまずの成果を収めることができました。 定期テストで結果につながった成功体験

夏休みの宿題は必要?

結論からいうと 私の教員生活24年の経験から、夏休みの宿題は 生徒に学力を身につけてほしいと祈る教員側の願望にすぎず、 ほぼ効果がない と考えています。 【学力が十分身についていて目的意識が高い生徒】の場合、 宿題があろうとなかろうと主体的に学習するので、 教員サイドが干渉しなくても勝手に学力が向上していきます。 むしろ、 夏休み期間中に有名私立校の受験対策をしたかったり、 個人的により専門的な学習したかったりなどの予定があれば、 一律に行われる宿題では難易度が低す

教室の エアコン と 学習

数年前から私が住んでいる市では、 夏の気温上昇による生徒の健康被害(熱中症など)を防ぎ、 快適に学習に取り組めるようにするため、 各教室にエアコンが配備されるようになりました。 暑がりで、寒がりな私にとっても大歓迎の施策で、 生徒たちとも利害が一致し、ガンガン、エアコンを使用しました。 私も生徒も、暑さと湿気が気にならなくなったため、 エアコン設置前とくらべて 格段に集中して授業に取り組めるようになりました。 エアコンによって学習環境は快適になりましたが、 さらに私は、

数学が苦手な人

私は中学生の頃、数学が苦手で、 基本の計算ならまだしも思考力を問われる応用問題になると、 さっぱり解き方がひらめかず、自分のセンスのなさを嘆いていました。 中学2年生のあるとき、 中1からの内容を振り返る数学のテストが実施され、 人生で初の0点 をとることになりました。 もちろん白紙ではなく、 問の1番から順に一生懸命考えて記入したのですが、 自分の名前以外1問も正解していませんでした。 テストを返却されたとき、脂汗が止まらず、 親にどう伝えればいいかと言い訳ばかり

初見の問題に対応できるようになるには…

ある授業中、生徒に 「初見の問題は絶対解けない。同じ問題を最低1回は解かないと無理」 と宣言されたことがあります。 ベテランの年になって、 ある程度満足のいく数学の授業を提供できていると考えていた私には かなり衝撃的な発言で、 生徒の切実な思いを理解できたと同時に、 指導の仕方を工夫しなければならないと思い知らされました。 テストにおいて初見の問題に遭遇したとき、 生徒たちの反応は大きく分けて2つ考えられます。 上記のように感じている生徒の場合、 初見の問題は全く新

脳は「〇〇〇」ことを得意としている!

私が中学校で数学を教えていた頃、 時折、自画自賛するほど手ごたえを感じるような授業が できることがありました。 そんなときは意気揚々とスキップでもしそうな勢いで職員室へ戻り、 次の授業の準備をするんですが、 その翌日 あれほど手ごたえを感じていたはずなのに 教えた内容の大半を忘れてしまっている場合がほとんどだったため、 かなり落ち込みました。 そんなことを繰り返していると ふと、 数学ができるようになってほしい という感情が高まりすぎてしまって 自分のことを棚に上げ

得意を伸ばすのが先か? 苦手を克服するほうが先か?

日本人の特性なのか何なのかはわかりませんが、 私は自分の長所より短所に目がいってしまいます。 その感覚が原因なのか中学校の教員の頃、 数学を教えるときには、生徒の苦手なところを何とかしてやりたい、 部活動で指導するときには、選手の弱点を補強したい と考える傾向がありました。 しかし、脳科学的には 苦手を克服するために、苦手な部分を重点的に訓練するより 苦手を克服するために、得意分野を伸ばす ほうが効率的なようです。 この現象のことを「学習の転移」というそうで、

宿題と学力

私は中学校で数学を教えていた頃、退職する数年前までは 宿題が生徒の学力を向上させるとは考えておらず、 毎日、数学の宿題を与えることはありませんでした。 いや、訂正します。 宿題を効果的に運用できる自信がなかったので、 宿題では学力を向上させることが私にはできない と思っていたため実施しなかったというのが実情です。 つまり、 宿題と学力の相関の有無は関係なく、 ただ私の処理能力の無さが問題なんです。 何クラスもの担当する生徒を抱えている状態で、 授業などの通常業務

数学を生活に関連づけた授業の効果は?

私が中学校で数学の教員をしていたころ ・実生活に役立つ数学 ・生活に関連した数学 を取り入れた授業が推奨され、それが生徒たちの 数学に対する興味関心をひき、学力の向上につながる と、よくいわれました。 高校入試の問題においても、 携帯料金をグラフで表した問題や、 生徒同士がやたらと長い会話して課題を解決していく問題など 実生活との関連を匂わせたような内容が必ず出ています。 そのような問題が実生活に関連したものだと 判断するかしないかはさておき、 学習指導要領(引

授業内容をきれいにまとめた黒板についての考察

私が教わった黒板の活用法 20年以上前に行った附属中学校での教育実習のときも、 教員に採用されてから研究授業を行ったときも 黒板の使い方について先輩の先生方から いろんなアドバイスをいただきました。 その中で、 という3つのポイントが印象に残っており、 若い頃は疑うことなく、 黒板をきれいにまとめるためにスキルアップを目指していました。 私自身、字があまり美しいとはいえないので、 どうすれば見やすい文字や数字が書けるのか チョークの角の使い方を工夫したり、 マス目