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苦手なもの

子供のころから苦手なものに、作文と算数がある。

昔の小学校は、よく作文の宿題が出た。原稿用紙を1〜2枚渡され、決められた題について、期限までに書いてくるようにいわれる。

初めての作文は 確か小2だったと思う。題は忘れもしない「テレビ」

「お家の人とも話し合って、テレビについてどう思うか、好きな番組・嫌いな番組、いい面・悪い面、どんなことでもいいから、書いてきなさい」

テレビについて、いったい何を書くというのだろう。

“毎日 家族で見ます。面白いと思います。おわり”

1行で終わる。
幼いころから人見知りをしないほうだったけど、ふだん他人に明かさない自分の内面を人前にさらすなんて、恥ずかしくてそんなのとんでもない。心の内を書き表した本なんて読んだことなどあるはずもなく、いろんな感情が渦巻いている自分の心を伝える言葉も知らない。最初の数行を書いては消し、消しゴムの痕が生々しく残った原稿用紙を前に、時間だけが過ぎてゆく。

それから算数。それはただ、機械のように間違えないことだけを求められる難行苦行の連続で、計算問題を100問中1問間違えても、間違えた1問だけを問題にされる、非人間的な時間に思えた。

私は幼いころからぼんやりしている子供で、集中力が無かった。たとえ理屈はわかっていても、すぐケアレスミスをしてしまう。計算問題を解いている最中も、ああ、また間違えやしないかと不安になり、案の定 間違える。

あやめ

学校を卒業し、それらの災難にさいなまれることは無くなった。でも、大人になった今、私の毎日の仕事は ー ほんのささやかなものではあるが ー こともあろうに 「作文」と「算数」になった。うう・・・

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