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人は手のかからないものを好きになる

一言でいうと

好き、嫌いというのは意外とあいまい

活用シーン

脳の癖を知る・マーケティング

内容

1990年ヴァージニア大学のティム・ウィルソンによる研究。
被験者である学生グループを集め、数名のポスターを見せた。
「どれでも好きな一枚をあげるから、選んで持ったかえって良い」と彼らに伝えた。(これをAグループとする)

次に別のグループを部屋に入れ、同じことを言った。ただし、こんどはなぜそのポスターを選んだかの説明を求めた。(これをBグループとする)

6か月後彼らに自分が選んだポスターをどう思うか質問した。

単に好きなポスターを選んだAグループでは、全員が当時選んだポスターを好きだと答えた。
逆に、なぜそれを選んだか?と聞かれたBグループは、嫌いだと答えた。

さらに、Aグループはたいてい目に快い、キレイな絵を選ぶ傾向にあった。
しかしBグループはほとんどの学生が選んだのは猫がロープにしがみついている図柄のインスピレーションポスター(学校や事務所などに貼られる標語入りのポスター。この猫のポスターに入っていた標語は「あきらめるな」)だった。

『思考のトラップ 脳があなたをダマす48のやり方』
デイヴィッド・マクレイニー (著),

何の説明責任もなければ、普通にきれいなポスターを選び、
説明を求められる前提なら、説明しやすいポスターを選ぶ。
脳というのは、なんともゲンキンなものですね。

様々な実験を見ていて感じるのは、脳というのは決して正しさを求めないし、絶対性も求めない。
何を求めるかというと、なんとなく自分が納得できる妥協点を上手く探し出そうとする、ということ。さらに言うなら、手っ取り早く処理できる方法を自分に納得させようとする傾向もあるかもしれません。

このポスター選びがまさにそうで、好きでもないものを説明しやすいから「好きと思い込ませる」という事をまんまとやり込めてしまったわけです。
この事例なんて、普通に見たら「嫌い」と評する絵を、「好きである理由を説明しなければならない」となった途端「好き」になってるわけですからでたらめなものです。

ここで気になるのが、「流暢性」というもの。
これは例えば、覚えやすく発音しやすいネーミングがその商品をヒットさせやすいという法則の根底にあるもの。人は、覚えたり発音しやすかったりするものを好きになる、という傾向があるようです。
今回の実験はまさにそれと関連するもので、説明するという課せられた義務をスムーズに解決できる絵が好まれたという事。


これは例えばビジネスにおいては、過剰なおもてなしよりむしろ、購入やサービスを受ける際のステップが少なければ少ないほどリピートされやすい、という調査報告と合致するものだと思われます。顧客に手間をかけさせないという発想は、顧客の脳に手間をかけさせない、という事と同義なのかもしれません。



ワタシ、こんな本書いてる人です(^^)/

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