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新帝都物語 維新国生み篇

※私が読んだ本の書き出しとざっくりした内容を書き留める読書記録です


はじめの一行

発端

それは、会津の村人が始めてみる光景であった。
黒の様式服に外布を巻き、丸筒袖に詰襟の軍着を身に着けた兵団が、きれいに背丈をそろえて二列に並び、整然と行進していく。
「洋人だ、洋人だ」
と騒ぐ村人の声が響いた。どれも怯え声だ。
南蛮紅毛の軍隊が押し寄せてきた、と思い込んだせいである。
しかし、山深い陸奥の村人が勘違いしたのも、むりはなかった。
たしかに、兵団はどう見ても、異国の軍隊なのである。

新帝都物語 維新国生み篇(荒俣宏)

なんとなく、田舎の人たちが度肝を抜かれるその雰囲気は伝わります。
お、と思わせるシーンから始まるというのは、やはり小説の1つのパターンですね。

本書の内容

あの荒俣さんの本

私の印象としては、本書の著者である荒俣宏さんというのは、学者さんだと思ってたんですね。
まあ行ってみれば、現代の柳田國男とでも言いましょうか。
だから時々テレビに出て、ちょっと怪しげな怪奇番組でコメンテーターを務めるやさしいおじさん、という印象でした。

一方、若いころ、「帝都物語」が映画化されたのはよく覚えています。
リアルタイムで映画は見ませんでしたが、レンタルだったか何かで見たとき、けっこうおもしろかったのを記憶しています。
この手のSFホラー的な内容を日本の映画でやると、悲しいくらいチープになるのがだいたいのパターンでしたが、なかなかどうして、けっこういい感じだったように記憶しています。
そしてこの原作が、荒俣宏さんによるものと知ったのは、随分と後のことになります。

帝都物語と荒俣宏さんの名前が結びついたところで、気になったのが本書。

正直言うと、たまたま、古本屋さんに鎮座しておりました。
文庫版でない方だったので、やたらと重くて分厚い。
ページ数は700ページを超える大作です。
そして物語では珍しく、紙面は縦二段に区切られております。

こりゃあ大変だ、と思いながら読み始めました。

新選組の時代

本書の時代は、まさに明治維新のすぐ後、明治2年とかそのあたりが舞台です。
新選組の土方歳三あたりが重要なキーパースンとしてでてきます。
そして主役格には、平田篤胤の娘おちょうと、その旦那。
彼らが宿敵、加藤に立ち向かうわけですが、そこに出てくるのは、瑠璃尺、七支刀そのたさまざまな神器。
そしてイザナミ・イザナギの国生みの再現。

そこに至るまでの謎解きがあるのですが、そこの深さはさすが荒俣さん。
相当マニアックな謎解きがあります。
そのあたりが一つの楽しみではあるでしょうね。

特に後半は、グイグイと引き付けられて、ついつい読む時間が増えて困りました。

古い本ですが、日本の伝説なんかに関心のある方はチャレンジしてみてください。

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