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落しものとも言いきれない(着の身着のままゲーム機)【#毎週ショートショートnote】

 突然だが、目の前に着の身着のままの男がひとり落ちていて、そいつがいきなり

「僕はゲーム機なんです」

とか言い出したら、あなたはどうする?

 俺は通報する。

 警察官が来るまでの間、そいつは喋り続ける。

「ゲームのお好きな博士が、AIと会話しながらゲームするべく僕をお作りになりました。どの媒体のゲームでもプレイ可能なんです。見てください」

 と言ってそいつが見せたうなじには、確かにスロット様の細い穴とケーブル接続の端子がついていた。

「嘘でしょナニコレ」
「ですからゲーム機なんです」
「違法では?」
「それは僕にはわかりません」

 ゲーム機はさめざめと泣き出した。

「博士が不慮の事故で亡くなられて、ご遺族の方に一所懸命ゲーム機ですって説明したんですけどわかってもらえなくて、出ていけと」
「それが普通」
「どうしてですか。僕はゲーム機なのに」
「自我があるゲーム機なんてやだよ。エロゲどうすんの」
「そういうプレイも可能ですよ」
「え、だから人型なの? こわ。博士こわ」

 やがて到着したパトカーに乗せられて、ゲーム機は遠くへ旅立っていった。かわいそう。

(本文463文字)


こちらの企画に参加させていただきました。

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