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ちぃとれんのお話 第3章 ちぃが突然…!

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ちぃが夜中に突然、大変なことになりました。
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1.ある夜

1.ある夜

 ちぃ(5歳♀)がある夜、台所のテーブルの下で寝ていたと思ったら突然、「ぎゃん」という聞いたことのない声を出し、私にすがりついてきたので、どうしたのかと思って抱き上げると、また変な声を出して今度は夫にすがりつきました。

 抱いたり触ったりすると痛がってあばれ、後ろ脚を両方、引きずるようにして逃げ回るのです。

 でも、脚にもどこにも外傷は見当たらないのです。

 夫がちぃを落ち着かせようと、「ち

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2.夜中のドライブ

2.夜中のドライブ

 その夜ちぃは、背中の痛みで呼吸が荒く、速くなっていました。

 短頭種の犬は、こういう呼吸が長く続くと熱中症のような状態になりやすいので、早くなんとかしなければなりません。「ちぃ、ドライブに行くよ。」と声をかけると、4本の脚でしっかりと立ち上がり、車まで自分で歩き、夫に抱っこされて後ろの席に乗りました。

 夫がまた、手を噛まれると気の毒なので、厚めのバスタオルを夫に渡し、手にまいてもらいました

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3.ICU(集中治療室)

3.ICU(集中治療室)

 時刻は夜の11時すぎでした。

 待っている間もちぃは、痛みのせいでかなり息が荒くなっていましたので、受付の女性に相談しました。

「9時半ころからもう2時間も速い呼吸が続いて、体温が上がってきて心配なのですが…。」

と言うと、

「それでは、順番が来るまでICU(集中治療室)で待ちましょうか。ここより涼しい、ケースの中です。もし、嫌がって暴れたりするようでしたら、お呼びします。」

と言って

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4.診察

4.診察

 若い獣医さんが、診察台の上にちぃを立たせ、頭のほうから順に全身をチェックし、最後に後ろ足の甲を片方ずつ、診察台のへりにこするようにして、足先の反射を確認しました。

 軽度の椎間板ヘルニアの疑いがあるので、ステロイドの注射をして、明日、かかりつけの病院でもう一度診てもらうように、とのことでした。

 注射には、痛みどめも入っているということだったので、翌朝の受診まで、ちぃがなんとか眠れますように

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5.入院

5.入院

 ちぃの後ろ脚の麻痺が進んでいるのを確認した先生は、

「病院ならば24時間点滴をして、何かあってもすぐに対応ができますし、このまま悪くなるようだったら検査設備のある大学病院に連絡して、CTやMRI検査、内服薬で対応できない場合は、手術もありえます。」

と説明してくれました。

 先生の口から初めて、「手術」という言葉が出たので私は、覚悟だけはしておかなければいけないと思いました。

 インター

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6.治療

6.治療

 そして夕方、先生から家に電話があり、思ってもいなかった言葉を聞かされました。

 ちぃは、お昼に入院したあと、夕方になって熱が42度近くまで上がっていました。先生は、

「通常のヘルニアで発熱することはないので、脊髄への感染症の疑いがあります。ステロイドと併用して抗生物質を注射する治療に切り替えますが、このまま熱が下がらないようだったら、万が一のこともあり得ます。」

というのです。

 先生の

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7.面会

7.面会

 翌朝、早い時間に先生が電話をくれて、ちぃの熱が下がり、薬が効いているようなので、大学病院への緊急搬送はまだ必要ないとのことでした。

 休診日のため面会はできませんでしたが、入院治療はそのまま続けてくれるということでしたし、私の顔を見てちぃが興奮したり、様子が悪くなったりしてもいけないので、その日は先生に預かってもらうことにしました。

 そして翌日、2日ぶりにちぃに面会したとき、ちぃはとても興

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8.長い長い2日間

8.長い長い2日間

 先生は、いつもゆったりと、飼い主が納得できるように丁寧に話をし、考える時間をくれます。

 ここの病院は建物は小さいのですがスタッフが多く、治療費も決して安くはないのですが、この先生がいると思うと、他へ連れて行く気にはなれません。

「入院費がかさむので、この状態で家に連れて帰る飼い主さんも多いですよ。ただ、もしもヘルニアが再発したら、ここで再度お預かりするのではなく、大学病院で検査をしたほうが

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9.小さくなったちぃ

9.小さくなったちぃ

 ちぃが退院した日からは、ちぃのケージを居間から隣の座敷に移動して、ふすまを開けてちぃの様子がいつでも見えるようにしました。

 居間では、来客のたびにちぃが興奮して、とても安静にはできないからです。そんなときにはふすまを閉めて、ちぃを興奮させないようしました。

 座敷は普段、夫が事務室として使っている部屋なので、電話中にちぃが吠えて仕事の邪魔をしないかという心配はありましたが、ちぃは昼の間、ず

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