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2021年 新聞歌壇に載った歌まとめ

公園の遊具は少しだけ伸びて夜の生き物たちを迎える
/日経歌壇 穂村選(特選1席)

抱きしめて震える君を理科室で静かに夢みる真昼がありぬ
/日経歌壇 穂村選(特選4席)

車内にてカバーもつけず罪と罰〈下〉を読むひとはあまり揺れない
/読売歌壇 俵選

軒先に吊るす何かがないからだ秋がこんなに曖昧なのは
/読売歌壇 俵選(評あり)

群青がultramarineであることを踏まえてわたしの哀しみはある
/読売歌壇 俵選 

缶切りが缶しかひらかないような綺麗な呪いとして思春期は
/読売歌壇 黒瀬選(評あり)

弁当を開けば肉が黒豆のドロップキックを食らっておりぬ
/読売歌壇 俵選

どこへでも行けるA5の画用紙に線を加えて恥ずかしくなる
/読売歌壇 俵選(評あり 1席)

バケットに野菜はぎゅっとはさまれて優しい支配もあるのだろうか
/読売歌壇 俵選

生きてゆく 小さき胸にそれぞれの降水確率宿らせながら
/読売歌壇 俵選

麺類の定義が歪む神さまに宣戦布告をした日の夜に
/読売歌壇 黒瀬選

文学が廊下の奥に立ってたらぶちかましたい右ストレート
/読売歌壇 俵選(評あり)

もし君がえいりあんだったとしてもサランラップを伸ばすしかない
/毎日歌壇 加藤選

まくらの意思は鳥の意思です抱きしめて羽ばたくように夢を見ている
/読売歌壇 黒瀬選

生きたくて空を見上げてしまうのは現代語訳のように悲しい
/読売歌壇 俵選

噴水が絶滅危惧種になる前に待ち合わせしませんかわたしと
/読売歌壇 俵選

友人に「おめでとう」って告げるとき選ばなかった表情がある
/読売歌壇 俵選

他人には興味ないって言ってた彼、ホテイアオイのこと聞いてきた
/読売歌壇 俵選(評あり)

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