烏森文庫

20世紀の悪魔を愛する文系ヲタ

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  • InDesignで小説同人誌をつくる

    筆者が慣れないAdobe InDesign CCを使って四半世紀ぶりに同人誌を出したときの備忘録。

最近の記事

文庫の行数と行内文字数

文庫を作るにあたって行数、行内文字数は悩ましい問題だ。あまり詰まっていると読みにくいし、逆に文字が大きく行間も広いと幼稚な印象を与えかねない。昨今、以前よりはフォントサイズも大きく、ゆったりした文字組みがトレンドだと言われているが(実際、新潮文庫は9.25ptを採用している)、実際行数や行内文字数、文庫自体のサイズも「およそA6」というかんじで各社ばらばら。 本来であれば余白やQ数も記載できればよいのだが、正確な数値を出すのがむずかしいので割愛する。手元にあるものをざっと計

    • InDesignで小説同人誌をつくる 文字組みアキ量設定2018年版

      一番奥が深いと言われている文字組みアキ量設定。 私は今世紀になって初めて作る同人誌の「始め括弧の字下げ」について悩み、調べに調べて最終的【段落1字下げ(+始め括弧半角)】を選んだ。 しかし、印刷したあと参考にしていた新潮文庫を見たら【段落1字下げ起こし食い込み(-始め括弧半角)】になっていたのだった。プラスとマイナスでずいぶん見た目が違う。縦書きの文字が、括弧の部分だけ半角ずれてしまっているのだ。ゲラの段階では気づかなかったのだが、新潮文庫を完コピする!くらいの勢いで作っ

      • InDesignで小説同人誌をつくる 奥付の要素について考える

        本文ができたところで、最後に扉と奥付を用意する。 扉商業誌を参考に扉はごくシンプルなものにした。タイトルとサークル名のみ。飾り系はフリー素材だ。私の場合は目次と同じドキュメントに入れているが、別にしてもよいと思う。 奥付書籍名 発行日 発行元 発行者 メールアドレス、連絡先(Twitter ID, Pixiv IDのみでは不十分の印刷所もあるので注意) 印刷所 諸注意事項 この本は同好者の間だけで楽しむために作られた二次創作の同人誌です。 本書の複写・複製、オークション・

        • InDesignで小説同人誌をつくる 目次編

          さて、ブックで順番を決めたら目次の作成ができる。地味に何度もつまずく作業なので、2〜3度サンプルを作成して調整方法を体得してから本番に挑むほうが効率がよいかもしれない。 スタイルを用意するまず目次を作る前に、段落スタイル、文字スタイルをあらかじめ準備しておき、目次ページに表示したい項目が無事に表示されてるのを確認しながら各スタイルを調整していくのがよいと思う。 あらかじめ用意するスタイルは以下。 (1)ドキュメント(小説作品)用 段落スタイル:小説作品名、小説著者名 (

        文庫の行数と行内文字数

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        • InDesignで小説同人誌をつくる
          17本

        記事

          InDesignで小説同人誌をつくる ブック編

          本文の設定も終わり、あとは編纂。複数のドキュメントをまとめる作業に入る。 ファイル>新規>ブック… でブックを作成する。ドキュメントの拡張子が「.indd」なのに対し、ブックファイルの拡張子は「.indb」。このときのブック名は、本のタイトルにしておくと後で便利。私は本のタイトルを最後の最後に決めるタイプなのだけど、こういうこともあるので先に決めておいたほうがなにかといいんだよな…。 ブックはドキュメントのように白紙のなにかが開くわけではなく、パネルのひとつとしてドキュメ

          InDesignで小説同人誌をつくる ブック編

          InDesignで小説同人誌をつくる テキスト整形編

          テキストの整形には主に「段落スタイル」「文字スタイル」「文字組アキ量設定」の3つを行う。これでもう8割は終わったようなもの。個人的にはここが一番時間を食ったところでもある。これも好きな文字組みをひたすら見つめてフォントサイズなどを決めていった。 整形前のテキスト例 なんかずれている。 段落スタイルの設定ウィンドウ>段落スタイルパネルを開く。前章マスター編で「小説タイトル」という段落スタイルはすでに作成していた。基本では必要な段落スタイルは以下のあたりだろう。あらかじめ作

          InDesignで小説同人誌をつくる テキスト整形編

          InDesignで小説同人誌をつくる 本文の配置編

          マスターの設定ができたらマスターを閉じ、新規ページを表示する。これはちょっと慣れが必要なので詳細は下記を参照されたし。 他のアプリケーションからのテキストをコピペする場合テキストツール(縦書き)でボックスをつくり、別のアプリケーションのテキストファイルをコピー、InDesignにペーストする。この場合、1ページのみに流し込まれる。 新規ページを作成する 1ページのボックスの左下にある「赤のプラスマーク」をクリックする。 そうすると、カーソルの先に「小さなテキストの塊の

          InDesignで小説同人誌をつくる 本文の配置編

          InDesignで小説同人誌をつくる マスター設定編

          ウィンドウ>ページを開き、右上のサブメニューから「新規マスター…」でマスターの設定ができる。 新潮文庫を参考に下記のようにレイアウトしてみた。 右ページ上の<セクション>部分には「章タイトル」左ページ上の<ランニングヘッド・柱>には「短編タイトル」ノンブルはページの外側に配置。 セクション今回、短編を章でまとめるという構成なので、「セクション」には章タイトルをあてる。 マスターに<セクション>を挿入するには、テキストツールでボックスをつくり、書式>特殊文字を挿入>

          InDesignで小説同人誌をつくる マスター設定編

          InDesignで小説同人誌をつくる フォント編

          フォントについて「好み」と言われてしまうとそれまでだ。個人的にはMacの標準のヒラギノ明朝、Windows標準の游明朝でもじゅうぶん綺麗だと思う。それでもこだわりのある友人知人に聞いたところ、下記のフォントを使っている人が多いようである。 ・モリサワ リュウミン ・イワタ イワタ明朝体オールド 私はAdobeの重課金者なので、小塚明朝体か源ノ明朝(げんのみんちょう)にしようか悩み、より端正でかわいらしさ控えめの源ノ明朝を選んだ。これは簡体字、繁体字、ハングルとアジアの文字

          InDesignで小説同人誌をつくる フォント編

          InDesignで小説同人誌をつくる ドキュメント設定編

          ドキュメント設定InDesignでテキストを編集する場合、まずはドキュメントを新規作成する。文庫(A6)の場合、印刷タブにはないので右側のパネルで幅と高さを設定することになる。 ここで注意したいのは、大手出版社の文庫はA6ではないということ。採寸していただければわかるが、高さは148mmでも幅は105mmより大きいものがほとんど。変形サイズの文庫を受け付けてくれるところであれば、幅は商業誌を参考に広めのものにすることをおすすめしたい(でないとノド側がかなり窮屈になる)。

          InDesignで小説同人誌をつくる ドキュメント設定編

          InDesignで小説同人誌をつくる 用紙選定編

          本といえば紙だ。わたしは紙が大好きだ。メジャーなものであれば触れただけで品名やキロ数がわかったりする。が、普通の人はそんなことはないと思うので、サンプルを取り寄せることをおすすめする。文房具屋や画材屋で見て触っても忘れてしまうので、紙の選定時は必ず手元にあったほうがよい。 印刷所によっては紙のサンプルを有償/無償で送ってくれる。ベーシックなものを作るのであれば無償版でも十分だが、凝った紙を使いたい場合は有償版を購入してもいいかもしれない。 私はいつもグラフィック社の紙見本を

          InDesignで小説同人誌をつくる 用紙選定編

          InDesignで小説同人誌をつくる 編集ツールにInDesignを選ぶ理由

          いよいよInDesignでの編集の話に入る。 一般的に小説同人誌を編集する場合、Wordで全く問題がないと思う。しかし、複数の作品をあつめて順番を入れ替え、それにともなって目次も編集し…となるとInDesignが便利なのではないだろうか、という結論に至る。個人的にAdobe CCに重課金しているので使わない手はないと思い、今回はInDesignでの編集に挑んでみた。 InDesignで行う作業の大きな流れは以下の通り。 (1)1作品1ドキュメントとする。あとがき、奥付も

          InDesignで小説同人誌をつくる 編集ツールにInDesignを選ぶ理由

          InDesignで小説同人誌をつくる 印刷所選定(文庫本文)編

          編集を始める前に印刷所を決定する。印刷所の指定する仕様を編集ツールのドキュメント設定やPDF書き出し設定に反映する必要があるからだ。もちろんあとから設定変更することは可能だが、ボリュームがある作品でドキュメントが多岐にわたる場合、あとから設定を変更するのはかなり骨が折れるしミスも増えるのでお勧めできない。 本文さて、印刷所決定するまでには先達たちのありがたいお言葉を参考にさせていただいた。 上記の中から私がピックアップしたのは以下 ・OTACLUB ・STARBOOKS

          InDesignで小説同人誌をつくる 印刷所選定(文庫本文)編

          InDesignで小説同人誌をつくる 印刷所選定(文庫カバー)編

          カバー印刷は仕事でも慣れているグラフィックに依頼することにした。安価なのはもちろん、Adobe Illustratorからデータチェックしてダイレクト入稿できる気軽さもいいし、仕上がりも確実。そして一番の理由は変形裁断が基本料金に含まれているということで、これはとてもありがたい。 仕様は以下 フライヤー印刷A3 変形裁断30枚コート紙135kg5日納期(オプション)PP加工(納期+1日)(オプション)ビビッドカラープリントRGB再現優先 PP加工あり…5,025円

          InDesignで小説同人誌をつくる 印刷所選定(文庫カバー)編

          InDesignで小説同人誌をつくる ゲストからのよくある質問(FAQ)編

          企画書を展開すると、ゲストから質問がやってくる。今回は代表的な質問と回答を紹介する。あらかじめ企画書に記載しておいてもいいかもしれない。 半角欧文について 右に倒れて縦書きになります。 !!, !?などの縦中横について 半角で「!!」「!?」と打っていただければ縦中横に修正します。全角の場合は縦に並びます。 数字について 半角2桁までは自動で縦中横になります。 タイトルについて 章は扉、タイトルは見出しになります。 章とタイトルが同じ場合は扉のみとし、見出しは省略しま

          InDesignで小説同人誌をつくる ゲストからのよくある質問(FAQ)編

          InDesignで小説同人誌をつくる 企画書編

          今回、私が作ったのはいわゆるアンソロジー形式のものだ。責任者と編集担当者は私だが、ゲストからも原稿を頂戴する。そうなると、仕様などを伝えなければいけない。 今回はTwitter上にグループを作り、そこで企画書を展開した。企画書はGoogleDocsで作成し、URLを叩いて確認していただく方式をとった。 内容は以下の通り。 企画概要タイトル:「    」 仕様:A6文庫サイズ ○部予定 収録作品 「   」シリーズ+書き下ろし ゲスト収録作品 ○○さん「   」 ○

          InDesignで小説同人誌をつくる 企画書編