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播磨陰陽師の独り言・第百六十九話「鳥獣人物戯画」〈後編〉

 仏像のような蛙は学問の神である菅原道真公を表してます。道真公配下の陰陽師集団は〈菅原すがわら衆〉と呼ばれていました。それがやがて〈菅原かんばら衆〉と呼び方を変え、時代は下がって織田家陰陽師集団として知られる〈神祓かんばら衆〉の祖先となりました。
 道真公の祟りを鎮め、神としての力を発揮するため、梟である北極星と北斗七星の神を必ず後ろに配置しています。

 絵の中に一匹だけ烏帽子を被った猫が出てきます。これは法師陰陽師を表しています。法師陰陽師とは、僧侶でありながら陰陽師をやっている人たちのことです。
 鳥獣人物戯画の絵の中には、皇別・神別・蛮夷ばんいの三種類の日本人が描かれています。この三種類が日本人の基本です。平安時代に書かれた『新選姓氏録』と言う書物に当時の日本人の系統が記録として残されています。それには各々三分の一の人口で三種類の系統があるとされています。
 この中の皇別は、天皇家の関係に祖先がいる人たちのことです。たどると、誰それ天皇の血筋の子孫とかにあたる人のことです。
 神別は祖先が神である人たちのことです。祖先をたどると、何々の神となる人たちのことです。これは天皇家以外の豪族を祖先に持つ人と考えてください。
 蛮夷は帰化した人のことで、祖先が外国から来た人たちのことです。
 平安時代は大陸や半島ばかりではなく、白人や黒人を含み、世界中から帰化した人々が暮らしていました。すべて日本語を話す日本人として生きていたのです。
 外国人の定義は人種にあるかも知れません。しかし、わが国の古くからの日本人の定義は、実は日本に住んで日本語を話す人なのです。外国人でも、日本に帰化して日本語を話すようになれば、皆、日本人として扱われます。
 この世界中から帰化した元外国人たちは、平安時代当時、全人口の三分の一もいたそうです。信じられないかも知れませんが、平安の都をラクダが走っていた記録もあります。また、平家には特にヨーロッパ

系の帰化人が多く、その特徴は金髪の青い目だったそうです。
 平家の落武者の見分け方は、西洋人顔の者を探すと伝わっています。日本人の遺伝子は複雑な混血だそうですが、平安時代あたりにその理由があると思いました。

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