「イメージマップからみた自閉症者と定型発達者との空間認知の比較に関する研究」論文レビュー


1. 論文レビュー

 
高野哲也 柳沢究(2018)「イメージマップからみた自閉症者と定型発達者との空間認知の比較に関する研究」日本建築学会大会学術講演梗概集 巻号 2018,
1147-1148,2018 年 7 月

(1) 研究背景と目的


1.1. 背景:発達障害に代表される自閉性障害の認知特性を考慮した「わかりやすい」環境整備はまだ不十分で、自閉症者がより良い社会生活を送る為にも、環境整備の基礎的視点や目標の明確化が必要です
1.2. 目的:自閉症者と定型発達者のイメージマップ の比較を通して双方の空間認知の差異を明らかにして、自閉症者の空間認知における特徴について考察を行います。

 
(2) イメージマップの概要


2.1. リンチはこれらを用いてイメージマップで都市の「わかりやすさ=レジビリティ」を表現しようと試みている。
つまり人の頭の中で都市の画像を視覚化するという方法です

(3) 研究方法


3.1. 手描き地図を実空間と照らし合わせながら、対象者の空間把握と生活領 域の広がりを読み取るイメージマップ法
3.2. 被験者:自閉症者 5 名と定型発達者 8 名
比較分析のために 5 つのグループに分かれています
3.3. 白紙上に手描きで自由に地図を描いたイメージマップを作成してもらった (表 1)。
3.3.1. ⑴ 道路構成把握タイプ:①基準(グレーディング)--②判定--③評価--④比較(先行研究と比較する・本研究の結果と比較する)標準を定めて、その標準によって、患者の回答を分類して、比較結果を分析するということです。

•結果:自閉症者の生活領域は、親しみの強い道路に沿って線状に漸進ぜんしんする形で生活領域をひろげる傾向けいこうにある。定型発達者の生活領域は、地域ちいき全体の道路網状や地区内に沿ってひろがり、広範囲で面状に生活領域が形づかたちくられる傾向けいこうにある。例外として、K 組の自閉症者 K が定型発達者 k1,2 よりも広範囲に生活領域が形成している 。これは、 K が「散歩を毎日の日課としている」と述べて、彼にとって親しみの強い道路が地域全体にひろがっていた為と推測すいそくされる。

3.3.2. ⑵ 生活領域のひろがり:大文字は自閉症者を表し、小文字は定型発達者を表します

(4)まとめ


4.1. 自閉症者は、自身の行動を頭の中で再び想起し、親しみの強い道を辿り歩いていくといった、自身の実体験に基づいた視点から生活地域のイメージを形成していることがうかがえる。
一方の定型発達者は、上空から見下ろす「仮想的な視点」から生活地域のイメージを形成していることが描画からうかがえる

对照


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