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【エッセイ】ぎょ、ぎょ、ぎょ? 藤井聡太さん

えっと、ぎょ、ぎょ、ぎょ?
あの言葉何だっけ?藤井聡太さんが言った言葉。

思い出せずネットで調べた。
「連勝できたのは僥倖としか言いようがない」

僥倖…思いがけない幸い。偶然に得る幸運。

goo辞書より

 藤井さんが”僥倖”を世に知らしめてから、早6年。当時、藤井さんに憧れて何度も記憶したのに、いつ使ったら良いのか分からず結局自分の言葉にはならなかった。
 将棋の事は全くわからない。それなのに、藤井さんがの勝敗が気になる。ニュースはもちろん、夫が対局のネット配信を見ている時も、AIが示す勝率を見守ってしまう。
分かるのは、藤井さんが昼食とデザートに何を選んだかだけだ。
 
 将棋がどれくらいすごいか分からない。でも、藤井さんが好き。って感じ。
 ところで、藤井さんがおやつに選んで有名になった”ぴよりん”のお店は、名古屋駅ではいつも長い行列ができている。ぴよりんの行列が藤井さんの知名度と人気を物語っていると思うけれど、他の地方ではどうなんだろう?

  先日、福岡空港で搭乗前にテレビを見ていたら、藤井さんのニュースが流れた。イベントで福岡市を訪れ、中高生を含む31人と対局したらしい。ニュースになるくらい福岡でも藤井さんは人気ということかもしれない。
 
 ところで私は、搭乗前はお手洗いに行きたくなくても、行くことにしている。なぜなら、苦い経験があるのだ。

  昔、母と一緒に東京に行ったときのこと。着陸前にどうしてもお手洗いに行きたくなった。コーヒーをがぶがぶ飲みすぎたせいだった。しかしその時は既に着陸態勢に入っていて、お手洗いは使用禁止だった。

でも行きたい、行かなければ、大変なことになる。

キャビンアセンダントさんに必死に訴えた。
「お手洗いに行かせてください。」
しかし、どんなに懇願してもダメ。

 私は仕方なく、キャビンアテンダントさんの目を盗んで、席を立った。

「お客様!!」

あっさり捕獲。

 お手洗いに行きたくて、失神しそうだし、目立って恥ずかしいし、散々な目にあった。苦しみながら何とか着陸を待った。あの時間の長かったこと!もうあのような経験はしたくない。というわけで、お手洗いに行きたくなくても、(寝てしまって行けないこともあるので)行くことにしていいる。
 
  夫に荷物の見張り番をお願いして、お手洗いへと向かった。少し歩いたところで、頭がガーンと重くなった。

頭が混乱する。

目の前で見ていることが何なのかすぐに把握できない。

落ち着いて

私は今、知っている顔を確かに見ている。


藤井聡太さんだ。

さっきまでニュースで見ていた人が、目の前を歩いているのだ。

一旦お手洗いは諦め、夫のもとに戻った。

「ねぇ ねぇ! 藤井聡太さんがいる!」

夫は座っていたが、ミーアキャットみたいに立ち上がり、藤井さんが搭乗していく姿を見守っていた。
しばらく、2人とも言葉を見失っていた。
 ようやく正気に戻り、お手洗いに向かった。その間もずっと
「これから同じ飛行機に乗る・・・・」という言葉が頭を巡っていた。
起きている事が信じられない。お手洗いから戻り、夫に言った。

「人生で1番驚いた。もうこんなに驚くことはないと思う。」

「そりゃぁ 1番すごい人やったんだから」

何の1番なのかよくわからないが、

「そうだよね!」

と答えた。

僥倖・・・

僥倖にめぐりあった。


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