第51首 染まる野原

※このノートでは、春の和歌をご紹介します。各和歌のイメージを記した【イメージ】のあとに、【ちょこっと古語解説】というパートを設け、和歌中の古語を簡単に説明しています。なお、【イメージ】は、現代語訳そのものではありませんので、その点、ご了承ください。

【第51首】
 春雨の ふりそめしより 片岡の すそ野の原ぞ あさみどりなる
《はるさめの ふりそめしより かたおかの すそののはらぞ あさみどりなる》
(千載和歌集/藤原基俊《ふじわらのもととし》)

【イメージ】
 温かく細かい、優しい雨が降る。
 雨を受けて、芽吹いた草が生き生きとする。
 春雨が降り始めてから、片岡のすそ野の原は色づいた。
 美しい浅緑色に。

【ちょこっと古語解説】
ふりそめし……「そめ」は元の形は「そむ」で、動詞について「~し始める」という意を添える。「し」は元の形は「き」で過去を表す助動詞。全体で、「降り始めた」ほどの訳。
片岡……今の奈良県北葛城《かつらぎ》郡王寺町付近の丘陵地帯。
……強調を表す助詞。訳にはあらわれない。
なる……元の形は「なり」で、断定を表す助動詞。「~である」ほどの訳。

※コメント無用に願います。

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