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【詩】満ち潮

山を越えて、海を目指す
森を抜け、峰をくぐり
平たい大地に、降りてゆく

水面は、遥かに光っている
覆いかぶさる空間が
どこまでも、青く突き抜けている
遠く、横たわる水平線を
まなざしの先に、追いかけて
絶え間ない反射を、みつめている

浜辺は、あまりに眩しく
時の行方を、のみ込んでいく
潮の響きが、素肌を洗う
為すすべもなく、立ち尽くす

押し寄せる、望郷の想い
火照りは、溜めた涙を解き放ち
ためらいもなく、砂塵をまく
汗の軌跡を、浜に染ませて


©2023  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。