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【詩】失業者と猫

今夜、おまえの温もりで
すこし、夜更かししていたい
あしたの朝は、ゆっくりだから
しばらくは、毎日が日曜日
いつまで、みつめたところで
慰めに、なりはしないけど
澄んだ瞳の、みずうみを
風が、通りぬけていく
深いため息を、聞きながら
今夜は、ずっと、こうしていたい
過ぎた夢の、さざ波が
手放した、ともし火の名残りを追って
闇夜の海を、およいでいる
髭を舐め、爪を逆立て
仔猫のように、あまえて欲しい
明日を、思い煩うこともなく
潮が、寝息をたてるまで
身を揺らす、咆哮が
声を、ひそめてくれるまで
おまえの腕に、抱かれていたい

©2024  Hiroshi Kasumi

お読みいただき有難うございます。 よい詩が書けるよう、日々精進してまいります。