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『進撃の巨人』第2巻の感想

第1巻と同じく、今回も凄く衝撃的だった。素晴らしい読後感で、さすがに世界で1億4千万部も売れただけの事はあると思った。

過酷な世界観なのに、不思議と惹き込まれる。たぶん、人間ドラマが生々しく描かれているからと思う。

その生々しさは絵柄のせいもあるが、一人ひとりの思いや感情を、余す所なく表現し切っているからと思う。

そこは絵の力も大きく、さらに言えばイラスト的ではない、漫画としての演出力がより大きいのだと思う。

将来的にAIはこのような演出までできるようになるだろうか?

私は無理だと思っている。

展開が速いと、キャラ一人ひとりの心情や人間関係の描写は少なめになりがちであるが、この『進撃の巨人』に関してはそんなことはなく、展開の速さと人間ドラマの描き方がどちらも充実している。

それは1巻でも感じた。

この点は全くジャンルは違うが、同じマガジンレーベルの少年漫画であり、現マガジンの看板である『ブルーロック』もそうで、展開が速くても、人間ドラマ、感情のドラマも同時にきちんと描かれていると思う。

ファンタジーは特にそうだが、設定などの説明をどうするかが表現技法として問題になる。

私が見た範囲では、多くの場合ストーリー展開と共に設定の開示も進めるのだ。ストーリーが進むパートと、説明パートを分けないで、同時に進行させる。

『進撃の巨人』の場合は、もちろんそこもしっかりしているが、人間心理を掘り下げるパートと、バトルなど緊張感のあるパートを分けないで、バトルや様々な危機感のある場面の中で、心理描写をやっている。

相乗効果で、ストーリーの危機感や緊張感も、心情描写や人間ドラマも、双方が引き立て合うようになっている。

今回はヒロインのミカサの過去話が特に印象的だった。

主人公エレンの、単純に「ミカサを助けた英雄になれてよかったね」とは言い切れない、何とも言えない『ヤバさ』が描かれていたと思う。

今後も楽しみなダークファンタジーである。

それではここまで読んでくださってありがとうございました。また次回の記事もよろしくお願いします。

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