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虚無僧が登場する御家騒動『仙石騒動』のお話📖


仙石騒動とは、但馬(兵庫県)出石藩に起きた藩政改革を巡っての守旧派と改革派の対立事件。御家騒動として知られている。



お家騒動(御家騒動おいえそうどう)とは、江戸時代の大名家における内紛。



世間に語り継がれる、一般的な仙石騒動情報は、超簡単に説明しますと、

但馬出石藩家老、仙石左京は、藩主仙石美濃守政美まさよしの死後、嗣子しし(跡継ぎ)がいないのに乗じ、自分の子小太郎をたて、主家横領を企てたが、虚無僧友鵞に身をやつし、左京の隠亡暴露に努めた藩士、神谷転かみやうたたの奔走で、仙石家内部紛争が表面化したため、幕府によって断罪された。


・・・と、「善」対「悪」、「忠」対「不忠」とはっきり描かれており、家老の左京が悪者、虚無僧友鵞が善者となっております。


この仙石騒動は当時の社会を震撼させた大事件であったので、講談、歌舞伎、さらには映画化されることによって広く知られるようになった。
講談では、松本龍谷が1846年、江戸の麹町の吉兵衛席で仙石騒動を講釈したのが最初。大名の内幕を語って不謹慎だという理由で吟味の上、龍谷は江戸払い(追放)になった。だが、その後も、ひそかに語り読み継がれたのち、明治時代の有名な講釈師、放牛舎桃林ほうぎゅうしゃとうりんによって完成された。歌舞伎では最も早く上演されたのは三世桜田治助じすけ作、1853年上演の「花吉田岩尾松若」。十年後、三世桜田治助作「四海太平望月駒」が、江戸守田座で上演され、この作品を改訂した河竹黙阿弥かわたけ もくあみの、「蝶三升扇加賀骨ちょうみますおおぎのかがぼね竹柴基水たけしば きすい作の「千石船帆影白浜せんごくぶねほかげしらはま」は、明治時代に上演されて好評を得た。映画では、大正六年、日活が「仙石騒動」を作製し、神谷転に扮した尾上松之助が人気をよんだ。



やはり、絵になるのは虚無僧。



こちらが歌舞伎の『千石船帆影白浜』。
市川団十郎演じる神谷転です。 

梅堂国政筆(四代目国政 三代目国貞)  
 『千石船帆影白浜』
1888年 国立国会図書館蔵



読み物では以下のものに虚無僧の挿絵などあり。

『但石実記』今古実録 下巻 表紙
1884年 国立国会図書館蔵
『但石実記』 今古実録 下巻 もくじ
1884年 国立国会図書館蔵 



『出石奇聞誉神谷』 嵯峨野増太郎 編
国立国会図書館蔵
『出石奇聞誉神谷』 嵯峨野増太郎 編
国立国会図書館蔵


『千石騒動実記』 覚張栄三郎 編
国立国会図書館蔵




いかにも、時代劇に登場するような虚無僧像。



ですが、大体虚無僧は隠密をはかる胡散臭い奴ですが、こちらでは正義の虚無僧!




が、実際は・・・、



是非是非、こちらの本を読んで頂きたい!


『仙石騒動』宿南 保 著


中途半端にここで私が説明するよりも、この本にはこの事件の全容と歴史的意味が全面的に解明されております!
(先日の古典尺八楽愛好会では前編ということで、みっちり説明させていただきましたが、お話するにはちょっと複雑でみなさん眠そうでした笑)



ざっとあらすじを理解したい方はWikipediaが分かりやすいかと思います。




幕府の断罪の裏に隠される派閥争い、個人的な恨み、面子が入り交じり・・・、


読み進むうちに、こっちがしんどくなってきます😓




あ〜あ、何でこんなことに・・・。




しかも、仙石家は岐阜出身だそうで、親近感ばつぐん。
同級生に仙石くんっていたな…。





こちらの著書も参考にしました。

『新選御家騒動 下 』福田千鶴/編
『仙石騒動』村上 元三 著



福田千鶴 編の内容は、宿南氏の本を元に要約されており分かりやすいです。
村上 元三 著の時代小説『仙石騒動』は、虚無僧の実生活などが描写されていて面白い!そうかそうか、虚無僧寺ではこんな生活だったのか、など虚無僧描写多めで楽しい。当然脚色されているので事実かどうかはハテナですが。




実は神谷転が演奏したと言われる『転菅搔ころすががき』という曲もあります。





今回は、ひとまず仙石騒動に関する著書、浮世絵などのご紹介でした。



浪人が虚無僧になったというせっかくの史実、次回は一月寺の愛璿の活躍ぶりを探求したいと思います。




年表も後日書いてみたのでこちらもご参考に↓





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