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刀の王様 備前伝(新刀以降)

新刀以降は吉井川の氾濫によって長船一帯が壊滅した事、関ケ原の敗戦で宇喜多氏が滅亡した事で備前伝は急速に衰退していきます。
が、その中でも少なからず名工は存在していました。
今回は備前伝の新刀以降について紹介します。

古刀編は以下をご覧ください。

①古刀から新刀への転換期に何があったか

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1582年 本能寺の変で織田信長死去
1590年 豊臣秀吉が天下統一
1600年 関ケ原の戦い
1603年 徳川家康が江戸幕府を開く
1615年 豊臣家滅亡

などなど、安土桃山時代になると日本の歴史上大きな転換点となる出来事が続きます。
という事は、当然支配者が変わり、交通や商業が発展したと考えられます。
南蛮文化の伝来もあった事でしょう。
これにより政治や経済、社会の仕組み自体ががらりと変わった事が想像されます。
そんな背景もあり、刀にも新たな製鉄技術や鉄自体の普及、権力者の住む都市部への刀工移住などなど、新刀と言われるだけあって刀自体も古刀から色々変化したようです。


②代表刀工(新刀以降のみ記載)

■安土桃山時代

源兵衛尉祐定、七郎左衛門尉祐定

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(画像転載元:https://www.seiyudo.com/ka-060712.htm)

元々刀剣産地だった岡山も、有力な支援者だった赤松氏や浦上氏の没落、新たに台頭した宇喜多氏による岡山城下町建設に伴って商人が移住したことなどから、繁栄に限りが見られてきたようです。
そして、吉井川の氾濫による長船一帯の壊滅と、関ケ原の戦いで敗戦した事による宇喜多氏の滅亡が決めてとなり、急速に衰退していくことになります。


■江戸前期~中期

横山祐定、大和大掾祐定、河内守祐定

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(画像転載元:https://tokka.biz/sword/sukesada10.html)

この時代になると戦自体が無くなり、それと共に刀剣の需要が激減します。
刀も武士の身分を示すシンボル的なものとなりました。(武士は刀と脇差の2本差し)
備前として上記刀工は名手とされていますが、全国的に見ると備前刀工の格付けは高くなかったようです。

ただ新刀期は岡山以外、日本全国で備前伝の作風が拡がるという事が起こりました。
例えば、滋賀から各地に派生した石堂派は、江戸石堂、紀州石堂、大阪石堂、福岡石堂というように全国各地で備前伝の作刀をしています。


■江戸後期~明治初期

大慶直胤、固山宗次、石堂運寿是一

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(画像転載元:https://www.touken-sato.com/event/katana/2013/11/K-naotane-01.html)

この時代から新々刀となります。
鎌倉や南北朝の古い名刀を範にとる復古新刀論が提唱。
新選組などの時代という事もあり、力強さと切れ味を追求した名刀の数々が作られました。
そして、1876年に廃刀令が出た事により、刀の需要が殆ど無くなりました。


■明治後半~現代

宮本包則

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(画像転載元:https://www.tsuruginoya.com/mn1_3/a00061.html)

刀工や金工の多くが廃業や転職を余儀なくされましたが、1890年に帝室技芸員制度が設立。
そこで備前伝を得意とした宮本包則が選ばれます。
また、明治後半は軍刀としての日本刀の需要が高まってきます。
しかし廃刀令もあった事で作刀技術も途絶えつつありました。
そこで、1900年に中央刀剣会が発足。
鍛錬伝習所、日本刀鍛錬会と呼ばれるものを設立したようです。

そして、1945年の終戦後数百万という刀が処分されたり、海外へ流出。
薫山氏、寒山氏をはじめ、刀剣関係者の尽力で日本刀が美術品として認められたことで登録制度も整い、一般の所持が可能となりました。
日刀保は1948年に設立され、以降日本刀の保存、研究、普及の役割を担っています。


④終わりに

現在も備前伝発祥の地に、「備前長船刀剣博物館」があります。
ここでは現在も多くの刀職の方が刀の魅力を伝えるべく活動をされています。

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(画像転載元:https://www.okayama-kanko.jp/spot/11175)

最近だと山鳥毛の購入でも話題になっていましたね。
備前伝は五ヶ伝の中でも途中歴史の波に多く翻弄されてきた感がありますが、そんな中でも多くの現代刀工の方が製作時の目標にしていたり、刀を見る人の目をひいてやまないのは備前刀が刀の王者たる所以なのかもしれません。
勿論色々な刀に良さはあると思いますが、やはり備前刀はその中でも群を抜いて美しいと感じます。
いつか手にしたいものですね^^

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それでは皆様良き御刀ライフを~!

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