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戦場での華「一騎打ち」

戦場での華とも言える一騎打ち。
今回は一騎打ちの歴史や目的について書きました。

①歴史

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(画像転載元:https://4travel.jp/travelogue/11180064)

弥生時代から奈良時代にかけてはまだ一騎討ちという概念はなく、平安時代になり初めて出てきたようです。
平安時代は朝廷の力が弱くなり、代わりに各地に源姓、平姓に代表される武士団(いわゆる源氏と平氏)が台頭。
この時代に初めて一騎討ちが誕生したと言われていますが、合戦手法の一つであったようです。
というのも、敵の指揮官を討ち取れば敵の士気を下げ、統制を崩す事ができます。その状態に持っていければ戦闘を有利に出来る事は間違いないでしょう。

因みに身分の低い者同士が戦う場合や、両者の身分や実力に明白な差がある場合は一騎討ちとは呼ばれないそうです。
あくまでこの源平の時代は、位の高い武士同士の一対一での戦いのみを、一騎討ちと呼称していました。
この風習は鎌倉時代まで続くようですが、その後は徐々に減っていきます。


②一騎打ちの流れ

なぜ一騎打ちが減っていくかの話の前に、一騎打ちの流れの話をします。

1.まず名乗る

「我こそは●●の●●である!!」
というような勇ましい言葉を大河ドラマで見た事のある人も多いのではないでしょうか。
この名乗りにもしっかり意味があり、大声で自分の名前や出身、主君について語る事で、戦場で誰が誰を討ち取ったのかを周囲に明確に認知させるという意味があったようです。
当然討ち取った相手が大物であれば、恩賞もはずみます。
自分が討ち取ったという証拠を残す事は武士にとってとても大事な事でした。
またこの名乗りの時に自身の武功も交える事で敵を挑発し、味方の士気を上げる事もしていたようです。
この風習は平安~鎌倉まで主流でしたが、戦闘様式の変化に伴い徐々に変わっていきます。

2.まずは馬上、決まらなければ組合い

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(出典元:「歴史道 戦国合戦の作法と舞台裏」)

最終的な一騎打ちの決着はどちらかが首を切る事で決まります。
まず馬上で戦い勝負がつかなければ馬から引きずり下して短刀などで首を切ったようです。
因みに戦国時代では戦い方の1つとして「組み討ち」というものがあったようです。
これは太刀や槍で勝負がつかない場合や、あらかじめ組み討ちでしようと宣言した場合に行われるものです。組み討ちを拒否すれば卑怯者とののしられるので受けない手はなかった様子。
組み討ちの流れは上のイラストのような感じですが、馬の上で決着がつく事は稀で、大抵は2人とも落馬してそのあと刀を用いていたとの事。
組み討ちでの戦巧は大変な名誉とされていました。


③一騎打ち文化も衰退

話は戻りますが、一騎打ちが主流だったのは鎌倉時代まで。
その後は徐々に無くなっていきます。理由は戦闘様式の変化にあります。
そもそも鎌倉時代はまだ戦の規模も小さく、大勢が入り乱れる戦が無かったようです。
戦をする際は日取りを決めて、両軍がそろってから戦の開始を宣言、両軍の代表が前に出て名乗ったら開始という感じで、奇襲などを仕掛ける事よりも武士の作法や誇りを重んじていました。
そんな最中に登場した源義経。
源義経は従来のルールを無視した戦い方(奇襲攻撃)で平家に対して勝利を重ねました。ここまで勝てたのもそういった当時の武士の決まり事を破っていた事が大きいとも言われています。

そしてもう一つ戦闘様式が変わるきっかけになったのが蒙古襲来。
ここでも武士のルールは通用しませんでした。

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日本の武士は名乗って一騎打ちを仕掛けるものの、蒙古軍は関係なく矢を打ってきた為です。
上記の絵もそんな時の様子を表しているのかもしれません。

その後に続く室町時代や戦国時代では、戦も大勢が入り混じる集団戦になっていきます。それだけ大勢いると名乗った所で誰が誰を討ったか分からなかったようです。
更に鉄砲も登場し、敵との戦闘距離も離れた事で名乗るどころではなくなったのかもしれません。
平安や鎌倉は名乗る事で証拠を得ていましたが、戦国時代になると首を持ち帰る事で証拠としていたようです。


④終わりに

華やかなイメージとして描かれる一騎打ち。
実際はどうだったのでしょうか…。
個人的には平安から鎌倉にかけての武士の作法や誇りといった精神的な部分がとても好きなので、その時代に作られた刀にも似たようなものを感じる事が出来て好きです。
美しい腰反りの姿にも当時の武士の美意識が感じられる気がします。

刀は時代時代の戦闘様式によって姿を変えています。
その時代の戦について調べれば刀の魅力がもっと見えてくるかもしれませんね^^

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