鎌倉時代の刀の茎をマイクロスコープで観察
刀の茎は時代を感じる事の出来る箇所であり、長い年月をかけて付いた黒錆は見た目も美しければ触り心地もまた軟らかくしっとりとしていて気持ちが良いものです。
鉄鐔は年紀が入っていない事や、江戸時代に沢山の古鐔写しが製作された事などから年代推定は難しいものの、刀は銘や年紀のあるものもあり、茎を見る事で鉄の経年変化をある程度正確に知る事の出来る貴重な部位であるように感じます。(但し後世に錆び付けされた物もあり古い刀の茎全てに古い自然な錆が付いているとは限らない)
以下は茎の経年変化の様子です。参考までにどうぞ。
という事で、この太刀の茎をマイクロスコープで見てみた様子が以下です。
尚、観察した太刀は区送り(摺り上げ)がされており、①と②の箇所で錆の付き方が異なります。
①の方が古く、②の方が若い。
①は700~800年程経っていると見られ、②は感覚値的な物になりますが、新刀などの錆具合と比較して400~500年位でしょうか。
かなり違いが見られます。
②は黒錆が薄く付いている様子が伺え、①は厚く黒錆で覆われている様子が見て取れます。
観察母数が1なので全ての刀で同様の見え方がするわけではないとは思いますが、経年変化により錆の見え方も少なからず変化する事は間違いないと言えます。
但し冒頭にも書いた通り、意図的に錆を付けている場合も多く、妙な艶感や錆の色ムラなどある場合は怪しいかもしれません。
巧妙な物も多いらしく、そうしたレベルのものは当然私は見ても分かりません。
本来はそうした後天的に錆付された物もマイクロスコープで覗いてみて比較してみるべきですが、そうした物が今手元にないのでこちらは機会があれば見てみようと思います。
次回はこの茎の表面の写真と、手元にある古そうな鉄鐔の表面の写真を比較して見て見え方に類似性が見られるのか試みてみようと思います。
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↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑
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