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正宗らしい正宗とは

無銘が大半の正宗において、正宗らしい正宗とは一体どんな正宗を指すのだろうか。
正宗の中でも評価は人により分かれるのかもしれないが、数年前に日刀保の講師の方が城和泉守正宗(正式名称:金象嵌銘城和泉守所持 正宗磨上本阿)は正宗らしい正宗で出来も別格と仰っていたのを思い出す。
城和泉守正宗の地鉄を見ていると、今回の第27回特別重要刀剣指定で正宗に極められた短刀も同じ地鉄をしていたし、以前拝見した重美の正宗も同じような地鉄をしていて刀屋さんも正宗らしい正宗と仰っていた事から、何となくこういう地鉄をしている正宗が「正宗らしい」と言われているのか?という自分なりの解釈をメモしてみる。
あくまで私感なので鵜呑みにはしないで頂きたい。

・城和泉守正宗の地鉄

e国宝のサイトで高画質写真が見れるので、以下画像は全てそこからの転載となります。(城和泉守正宗は東京)

東京国立博物館所蔵 金象嵌銘城和泉守所持 正宗磨上本阿)

という事で以下から正宗らしい正宗と言われている刀に共通していそうな地景です。

地景を赤線でなぞってみました


このように差し表は精美な地鉄に縦横無尽に地景が入り組んでいます。


差し裏

かと思いきや差し裏には粗い沸が所々についていたりします。


あくまで感覚の話にはなるのですが。
精美な地鉄の中で地景が刃文に複雑に入り組んでいる様子が見て取れる中で急に粗い沸、地沸がドン!と現れる。
この画像では分かりませんが、ライトの光にかざすと恐らく刃は冴え、金筋などの働きも盛んである事が目視できると思われます。

小沸が均一に付いている中で、急に粗い沸が部分的にぽつりと入り込んでしまった場合、美観の点においてはマイナス評価を受けそうな気もしますが(偏見かもしれない)、正宗はあえてこの粗い沸を「表現」として活かしているようにも思えます。
このナンジャコレ!と狂っているように感じる感じ(良い意味で)が正宗が高い評価を受けている理由であり、同時に見る人によって好みや評価が分かれる理由なのではないか?と何となく感じる次第です。

少し前までは則重などもそうですが、こういったあからさまな地景というのがあまり好みでは無かったのですが、最近はこの変化が面白く好きになりました。
正宗なんて名刀は普段まず見る機会がありませんが、見れる機会に恵まれた際は一時の至福の時間を大事にしたいと思います。

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それでは皆様良き御刀ライフを~!

正宗の美しさを絵で表すとしたら…という記事を過去に書きましたので、よろければ以下もご覧ください。
ちなみに今回挙げた正宗は以下記事でいう「なんだこれ?」と言葉で上手く表せない感想を頂く正宗の方になります。

↓この記事を書いてる人(刀箱師 中村圭佑)

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