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星野源 / 夢の外へ ディスクレビュー

「真ん中を行こうとしすぎた」

この作品は星野源3作目のシングルである
資生堂ANESSAのCMソングに起用された事でも有名な一曲だ


この曲の良さはやはりイントロだとおもう
はじまりますよということを抜群の音で知らせてくれている

楽しさの爆発が集約されていて
ここからどう展開して行くのだろうとワクワクさせられる
しかしワクワクしてしまったぶん正直裏切られてしまった

アップテンポに乗り切れてないのか歌詞のハマり方が気持ち悪かった
後ヴォーカルが少し弱くてそれをカバーしたいのかコーラスが入っていたが
あまりこのコーラスも気持ち良くなかった

もしかしたら時間がない中レコーディングしたのかもしれない
もっと歌い込んでいたらこういう結果にはならなかったとも思える

色々なことをやりたかったのかもしれないが
彼が作り出す鬱鬱したものとの整合性を取る前に出してしまっていて
気付かずに表現することで結果的に解離してしまっていた
CMサイズなら良いのかもしれないが勿体無い気がする

全4曲入りのシングル作品だが残りの3曲もあまりピンとこなかった
一つの作品としてあまりまとまりを感じられないので繰り返し聞くことも難しい

2曲目「パロディ」は優等生すぎてもっと振り切って欲しかった
こういう曲調だと人の力みたいなものが重要だと思う

この曲ももう少し時間があれば変っていたのかもしれないが
3曲目4曲目はシンプルな曲ではあるがその中で工夫していることが
工夫しすぎてるように聞こえてしまった彼の信念がもっと色付けせずに
伝わってくればこちらにも余裕ができてもっと作品に入り込めたと思う
すべては彼の魅力がこうさせたのだろう

彼が持っているすべてにチャレンジ出来る才能がないと
実現出来なかった作品であることは間違いない

ただ色々なことをやる時に真ん中を行こうとしすぎた
すごい才能があるからこそ器用貧乏になって欲しくない
彼はもっとえぐみがある人間だと思う

綺麗にやることが美しいことではないはずだ
偏っててもいいし歪があってもいいし整えるより大事なことがあるはずだ

彼の才能を改めて知るのに必要な一枚ではあると思う
曲ではなく人を知れる特殊な一枚ではあるが是非聞いてもらいたい


変幻自在のクリエーターユニット「KATANAGARI」です。基本ミュージシャンとライターです。Apple musicなどでカバー音楽、オリジナル音楽を配信しています。 https://itunes.apple.com/jp/artist/katanagari/1288449046