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小説【 dreamers 】11

密会現場を撮ったら男を尾行して、どこの誰かを突き止める計画。昨日見た男は母と同年代だった。家族は当然いるだろう。動画か画像をなんとか送れないか。

周りから攻めるのは卑怯な気がする。でも男個人にコンタクトは難しい。母の携帯は覗けない。尾行して会うのも怖い。正直絡みたくないし、不倫を「やめて」と頼んでも悪いヤツなら聞かないだろう。「娘が会いに来た」とママに話されたら最悪。

だから直接対決はできない。しない方がいい。男の周囲に不倫を知らせて、男が自主的に終わるようにする。

それが我が家には一番波風の立たない方法。

でも相手の家族には波風を立てる。妻に「どこの女だ」と責められた男が白状して妻が我が家に乗り込んでくる――そんな展開だってあり得る。それでパパに知られちゃ元も子もないな。

送るなら最初は男の会社ぐらいがいいのかも。会社のWebサイトがあれば簡単かもしれない。でも大企業だったらどうだろう。送ってもどこまで届くか、効果があるか。イタズラ扱いで無視されたり破棄されたりするかもしれない。男のダメージになるかはわからない。不倫をやめようなんて気にできる?

だいたい会社員じゃなかったら? 自営業とかフリーランスの人とか。

それなら男個人に送るしかない。男にとっては一番だろう。家族や周囲を巻き込まない。自営業なら撮った画像をプリントして投函する。他にも証拠があると脅して。それでもやめないようなら家族に知らせる。だからそれらを突き止めないと。

でも、そんなことできる? 尾行とか盗撮とか送り付けとかそんなこと。

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