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オンラインショップのお店がリアル店舗を開くまで。(左ききの道具店の場合)

左ききの道具店は、2023年8月13日(左利きの日)にリアル店舗「ときどきストア」を岐阜県各務原市に開店しました。

お店の中はこんな感じです。

壁一面に掛けられた商品。なかなか壮観です
もちろんシロクマもいます
新作手帳は特設コーナーに
山藤さんの財布。ぜひ手に取ってみてほしい
カラーリングがかわいいなー
インクも種類多めに揃えております

ぜんぶに目が行き届き、商品を手に取りやすく、店長とゆっくり話ができる、こじんまりとしたお店。

最初は月に一度、今は月に2,3度しか開かない、なんとも気まぐれなお店ではありますが、そこはストア名が「ときどき」だからを言い訳に、ゆるゆると営業しています。いい名前を付けたなと、個人的には思っております。

とはいえ、オンラインとリアルの両立はなかなかにハード。想像以上にお金も時間も手間もかかる。特に、現場を仕切る店長は大変です。

通常のオンライン業務に加えて、自分が手を動かさないといけないリアル業務が増えるわけです。それに、運営中は自由に自分たちのスペースに知らない人が入ってくるというドキドキもある。

たぶん、そういうのが始まる前は想像で膨らんじゃうんでしょうね。はじめて僕が「リアル店舗、やってみようか?」と店長に提案したとき、即答でしたから。

にべもない

基本的に店長はインドア派なんです。僕もだけど。

なるべくなら外に出たくないし、自分たちのテリトリーに他人が入ってくるのに敏感だし、できれば静かに過ごしたい。

オンラインショップって、そこが担保されるから気持ちとしてはめちゃくちゃ気が楽なんですよね。もちろんインターネット上では饒舌だし日々の発信は命綱なんですけど。リアルで誰とも会わずに済むのはずいぶんとストレスフリーだったりするのも事実。

だから、やりたくないのめっちゃわかるなーって思いつつ、でもやらないわけにもいかないなと。現場から一歩引いてる、でもお金はめっちゃ見てる代表という立場だから切実だったんですけど、折を見て「店舗やろうよ」って言ってたんじゃないかと思います。

最終的にはご存知の通り開店に至るんですが、その背景には一般的なものもあればうちらしい理由もあったりしたので、せっかくなので簡単にまとめてみます。オンラインショップを運営している人、これからやろうとする人の参考になれば嬉しいです。



理由その① 事務所スペースに余裕があった

2022年の初夏あたりに引っ越した今の事務所は、元々は焼き鳥屋さんだったり学習塾だったりして、一軒家でそれなりの人が入れる広さと間取りでした。

80平米ぐらいかな。在庫を全部収めても、十分な事務スペースを取ることができました。なにしろ、うちは店長と僕とスタッフのかおりさんの3名体制ですからね。余裕なわけです。

引っ越したばかりの頃。なぜか店長はピース

たぶん、僕の根が貧乏性なんでしょうね。スペースがあると何かで埋めたくなる。ゆったりとした空間に滞在するのは好きだけど、お金を払う場所なら十二分に使いたい。もっと言えばお金にしたい。お客さん入れたい。……ということで、お店化は結構最初から考えていました。

(でも店長は反対するよなー)


理由その② 左利きの道具は「接客商品」だった

左ききの道具店では、年に3,4回のペースで「おでかけストア」という名前のポップアップを開催しています。

最初の頃はコロナ禍に入ったばかりだったこともあり、もっぱら商品を送って、陳列も接客もお店にお任せというスタイル。店舗のプロに任せた方が安心だよね、という思いもありました。

一番最初は渋谷TSUTAYAさん。5年前。真ん中の1列分だけの小さな小さなポップアップ。
こちらはLOFTさんで。3年前。ずいぶん商品は増えてきた

でも、いつだったか店長が接客する機会があって。やっぱり直接話すと盛り上がるんですよね。そして売れる。もうね、全然違うんですよ、売り上げが。店長がお店に立つ場合とそうでない場合で。

これ、最初は単にSNSで発信している店長と会いたいし話をしたいんだなーって思ってたんですけど、店長ともよくよく話をしていると、

左利きの道具は「課題解決型」の商品であり、「接客商品」である。

ということに気づきました。

これは結構大きい発見でした。僕は右利きなんで、左利きの人にとって左利きの道具は「待ってました!」的な商品かと思ってたんですよ。でも、ほとんどの左利きの方はすでに右利きの道具に慣れている。なので購入には慎重になるし、ちゃんと話を聞いて買いたいという人が想像以上に多いんです。

これが明確になってから、遠方のポップアップであろうとも、少なくとも数日は店長が立つようにしました。左利きの店長が実感を交えて接客する。これが一番効く。

(やはり店舗があった方がいい)


理由その③ メディアの撮れ高が少ない

左ききの道具店って、その存在自体にレアさがあるためか、ときどきメディアからお声がかかります。ありがたい限り。

ただ、これまでのメディア露出を振り返ってみると、掲載されるのはシロクマとロゴ。

そして一部の取扱商品たち

左利き仕様の万年筆
右側に口がついたホーロー鍋
どちらの手でも使いやすいレードル
ドイツ直輸入のカラフルな左手用ハサミ

メディア掲載に関してはありがたい限りで、いつでもウェルカム!ではあるのですが、写真としては変わり映えしないことも事実。そして、稀にあるテレビなどの映像メディアから声がかかった場合に困るのが、映す「場」がないということなんですね。

商品の大部分は仕入れ。つまり、他でも買えるわけです。だから「うちらしさ」を出していきたい。オンラインショップでは全体を通してそれを表現できていると思うのですが、メディアという媒体を通すと「らしさ」を表現する画がないという事態になるわけです。

(やはりお店がいるぞ!)


理由その④ 左利きさんは、左利きさんとおしゃべりしたい

これは僕が立ち会ったときに驚いたんですが、左利きさん同士って、不思議と打ち解けるのが早いんです。普段から左利きで不便があって、かつ目の前に左利きの道具という話すネタがある。喋りたい! 聞いてほしい! という気持ちが盛り上がるんだと思います。

あるとき、まったく初対面の左利きさんが3人集まって小一時間おしゃべりしていたことがあって。左利きあるあるで花が咲くわけです。右利きの僕なんかは、すごいなぁ、、、とぼんやり眺めているだけでした。

もちろん人それぞれで、静かに商品を見る方も多いんですが、左利きの店長との会話は実に楽しそう。やはり、ある意味での同志のような感覚があるんだろうなぁと思います。

そういう点でも、(ほぼ)左利きだけが集まるお店って、左利きの人にとっての「コミュニケーションの場」としても、めちゃくちゃ魅力的なんじゃないかなーって思ったわけです。


……という話を、幾度となく店長にしました。


やはり乗り気ではない


でも、だんだんと溶けてきました


というわけで、まずは月に1度からはじめようと「ときどきストア」がオープンしたわけです!

2023年8月13日(左利きの日)に開店!



そんなわけで、誕生したときどきストア。
現在の営業日は月に1度から2度に増え、ここから少しずつ増えていく予定です(とはいえ、もう少し増えるぐらいですが)。

そして店長も慣れてきたのか、

ゲンキンです

という言質も取れました。

そんなわけで、これからも続いていくときどきストア。岐阜にお越しの際はぜひお立ち寄りください!

待ってまーす

ときどきストア
住所:岐阜県各務原市蘇原沢上町4-5-31
最寄駅:JR高山線蘇原駅 徒歩15分、名鉄各務原線六軒駅 徒歩12分
駐車場:4台有り
※営業日以外はお越しいただいてもお買い物いただけません

最新のときどきストアの営業日はウェブサイト、SNSでチェックしてください!

X:https://twitter.com/hidarikiki_dogu
Instagram:https://www.instagram.com/hidarikiki_dogu/


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