大きな目標を掲げたなら、正しい戦略を持ち、私心は捨てること

楽毅(宮城谷昌光著)より、人間の心のうごきを考察しています。
現在最終巻を味わっています。ここへ来て、武勇伝というよりも外交や人との駆け引き、そしてその背後にあるべき心の持ちようが描かれます。関連投稿はこちら。


楽毅は燕という小国に仕えます。そして、燕の王が斉という大国に恨みを持っており、倒したいという思いを持っていることを知ります。この恨みベースの動機に楽毅は共感できるかどうか疑問を抱きつつも、王に対して、小国が大国を倒すための基本的な考え方として他国の力を借りなければならないことを説きます。
これに対して、王は力を借りなければならない自国の力のなさに落胆します。しかし、楽毅は大きな目標をなすことは悲喜を超えたところにあることを説き、王は自分の未熟さに気がつきます。

この一連のエピソードから、何が正しいかはべつとしても、人が目標を果たすために何が大切かを学ぶことができます。

まずは動機というものの在り方について。
他国を責めるには大義が必要です。しかし、その大義が王というリーダーの個人的な恨みのようなものであるならば、どこかの時点でそれに私情がひきずられ判断を誤ることがおこるかもしれません。ここにリスクが存在するということを注意しなければなりません。
一方、もし他者の意見を聞くことができるリーダーであるならばそのリスクも低いかもしれません。動機に問題があったにしても、リスクを冒して踏み外すのことないリーダーであるかによってはサポートしてもよいと見方もありそうだと思います。

また、リーダーの動機に違和感があったとしても、他国を破るということが国という組織の目標となった場合、サポートする部下やメンバーは真剣にその目標について考える必要があります。最初から意味がないと考えるのではなく相手(リーダー)の気持ちを汲む努力は必要かと思います。しばしば上司の文句を言う場面に出くわしますが、上司も人。共感を寄せて考えることは必要だということを感じます。

次に、戦略について。
小さな組織が大きな組織に打ち勝つには、張り合えるまで力をつけるか、リソースをアウトソースかどちらかです。前者を選ぶなら力をつけるまでの算段はあるのか、その間に競争に負けることはないのか、複合的に考えて判断するべきだと感じます。一方、アウトソースには他組織との利害関係が発生するので物質的なコストやコミュニケーションコストが必要となります。これを攻略するにも人、金、モノ、そして相手にメリットがあるのかを考えることが大切だと思います。

そして、最後に志を貫くための心の持ちようについて。
ケチったり、あまり人にたよりたくない、自分でやりたい、という私情があると思いを遂げることはできません。私心やプライドなどは大きな目標のもとに何の意味ももちません。謙虚に頭を下げる心を持つことはいつの時代もとても大事なことだと思います。


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