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【かつらのお話:イナセのかつら】

床山さんからキレイに結い上がってきました。

こんにちは。京都時代劇かつらです。

前回、コテ当て櫛入れしたかつらはイナセのかつらでした。


自然色全網の舞台鬘・イナセ

前シリーズの御家人のかつらは武士の髪型で、鬢髱がピチッとひっつめてありました。

鬢髱がゆったりしている

今回のかつらは鬢髱がゆったり膨らみのある町人のかつらです。その町人のかつらでもこの髪型はイナセと呼ばれています。

イナセのかつらは時代劇で頻繁に出てきます。

一番はご存知『銭形平次』です。

神田明神下に恋女房お静と住まいする平次親分。
子分・八五郎の「おやぶーん」の呼び声とともに起きる江戸の難事件を、冴え渡る名推理で見事紐解きます。

最後立ち回りで見せる投げ銭は、視聴者をスカッとさせる私も大好きな主人公です。私より上の世代は、平次親分と言えば大川橋蔵さんでしょうか。

私は平次親分と言えばやっぱり北大路欣也さん。イナセのかつらも良くお似合いになり、尻っ端りにお対の羽織の目明かし姿が最高に格好よい平次親分でした。

目明かしの親分と言えば、『剣客商売』の四谷の弥七も

イナセのかつらです。

弥七の女房おみねは小料理武蔵屋を商っています。
店での弥七とおみねのやり取り、口喧嘩が江戸っ子らしく、物語のちょっとした息抜きにもなっています。

こちらの子分は、傘屋の徳次郎。
「おい!徳!」「へい!親分」とのやり取りで、秋山小兵衛の手助けをしていきます。

藤田まことさんが小兵衛を演じた剣客商売では、三浦浩一さんが四谷の弥七を演じられていました。三浦浩一さんの格好良さと江戸ことばがなんとも粋でイナセでした。

三浦浩一さんと言えば、『鬼平犯科張』の密偵・伊三次も

イナセのかつらです。伊三次は、伊勢は関宿の女郎宿で育てられた孤児で、生い立ちから醸し出されるどこか哀しげな雰囲気と粋な立ち居振舞いが人気です。

人気のあまり、中村吉右衛門丈の鬼平犯科張では、第6シリーズの11話『五月闇』で非業の死を遂げた後も、「伊三次が亡くなる前の話しである」とのナレーションとともに登場は続きました。
そして遂に鬼平犯科張FINALまでその姿を見ることのできたイナセが大変似合う登場人物です。

イナセはその他にも『名奉行遠山の金さん』の遊び人の金さんや、『暴れん坊将軍』のめ組の鳶連中、『大岡越前』の岡っ引きの面々、そしてコメディーリリーフで言えば『水戸黄門』のうっかり八兵衛など、たくさん登場します。


イナセは後ろ姿になんとも言えない色気が漂う

また、役毎にちょっとずつ違うイナセとなっています。

ぜひ見比べてみて下さいね。

次回もどうぞお楽しみに。

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