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【寄席エッセイ】男性からしたらもう全部ホルモンで話通してくれた方が理解が早い


男ってみんなバカだし…


というか、ホルモンだと思う。思わないか?



マキシマムザホルモン、エストステロン、豆乳を飲む、ドーパミン。どれくらい焼いたら良いかわからない。もう焼けたかな…ひっくり返すと油で火がボォーン!!!シマチョウうまい。


もうあらゆる現象をホルモンで説明した方が話が早いのでは無いか。そんな気すらしてくる。





まぁソレが全てって話では無いし。だからって私が細かいことを気にしなくて良いとかそう言う世界線にはならないのは当然の原則だども。ちゃんと振り返って電気は消せ。そして戸を閉めろ。



前回の記事はこちら


帰宅し卓に着く。妻はバツが悪そうに目の前に座るのを避ける。私は怒られるの待ちである。バッチこいやー!甲子園球児もびっくりのおっさんの大声のバッチこい。意識せずともボールが手塚ゾーン的に私に吸い込まれるのは間違いない。しかしまぁ主導権を握られるのがどうも気に食わないと言うか、私がそういう風に出るのは「なんか違う」ようで、歯磨きをしながらスマホをいじって10分経った。そんなに歯ぁみがくぅ???でも、怒られるのは間違い無いので私が声をかけるもシカトat the drive inである。家庭内にプログレッシブな空気が張り詰める。歯磨きの時間でギネス記録が叩き出されそうだ。







うーん?タイミングが違うのか?







と思い、自室に入り片付けを始める。しかし妻は私が退いた席の前に鎮座し「なんか言うことあるやろ?あぁん?」というムーブメントでケツが固着してしまう。






こっちが話そうとしたのに…なんて考えてはいけない。こんなもん余裕でわかる見え見えのトラップ。アタシじゃなきゃ見逃しちゃうね…このままシカトこいて2階に眠りに行ったらやってることの程度が同じになってしまう。








と言うわけで、私も鎮座。さぁ話をしましょう。となったのだが。






ここからはずっと妻のターンだった。
あらゆる記号で表記しないとアカン感じの言葉が積もり積もって山になる。日本語って表現の幅が広いんだと感心する。
私も合いの手を打つタイミングを何度も提示されるが言葉は出てこない。










だって、あーた聞く気ないもん。







売り言葉に買い言葉。沈黙は金。おそらく世の中の喧嘩中の女性は黙る夫を見て脳天カチカチ割りたい程の衝動に駆られているに決まっている。カチカチ山の脳天割り狸である。でもソレをギリギリのところで罵詈雑言で耐えてるのは非常に優しいと思う。だから感謝だメンズ。ノットカチ割りセンキューって言うんだぞ?








相手から提示される売りの言葉たち。大バーゲン。まるで年始のイオンみてえな感じ。全部福袋すぎて陳列棚が紙袋でピタゴラスイッチばりのバカ売り状態。口を挟む遑は無いし、挟む気にもなれない。相手の気持ちとしてはずっと俺のターンである。昨今こんなデュエリストもそうそういないだろう。ずっと俺のターンすぎて捲る山がなくなってしまう。まぁそれは確かルール上負けなんだけど。







売った言葉を買ってしまったら相手は傷ついてしまう。金の沈黙を破れば金メダル以下である。オリンピックでよく見とるじゃろ?1番上が金で、表彰台のど真ん中なんすわ。




猛ラッシュを浴びながらも、怒らせてしまって申し訳ないし、相手を傷つけるのも嫌だし、と言うことで黙り話を聞くとさらに燃え上がる。しかしここで買ってはいけない。売った言葉を買ったらあとはバイオレンスの世界に移行するだけだ。結構遠いようで近いんだぜ。そういうの。









「自分のことばかり考えておるからに!!!!!」









うーん。そんな事はない。別に妻はサイコメトラーでもないし。読心術できるわけでもないし。


昔はそんな風に考えていた時期もありました。怒りを鎮める事が大事だと、丸く収めるにはどうすればいいかと。




でも、怒りをこっちが鎮められるとは奢りであり。丸く収められると思っているのも奢りである。




だからって諦めて踏ん反り変えるのはベストオブ悪手であるのだけど。








その怒りと丸くないものをちゃんと直視できるか?という話で。直視ができるだけだよ。そのコントロールはこちらに無い。











相手が感情をどうするか?という話であってね。「あたしの仕事はここ迄」のラインが引いてある。悔しいし、悲しいけど。











怒るのはとても簡単だ。悪口を言うのも簡単だ。振り上げた拳をぶつける事は簡単だ。
だから皆が皆「怒ってしまった」としょっちゅう悩んでいるのだろう。簡単だもんね。楽だもんね。早いもんね。怒るのって。



反面。許す事は難しい。難しいから皆できない。いや皆ができないから難しいのか?
振り上げた拳を逆の手で抑える事。喉まで出かけたものを収める事。相手の立場で考えて自分の口を塞ぐ事。そして話を聞く事。
それが許すなのかどうかわからない。皆が皆、与えられるものは普段何でももらう割に、「許す」という受け止め方に関しては幾分かハードルが高い。





気に入らない、気に食わない、納得がいかない、Twitterが燃え。悲しみは連鎖する。関係ない人が許さない気持ちを抱き、またWWWに負の感情が巡る。



一度上げた拳のおろしどころをキョロキョロと探し、どこかに下ろしてしまう。本当だったら自分のところに戻す事ができるのに、手と腕は繋がっているのに、自分がソレを決めることができるのに。「振り上げた拳はどこかに下ろすのが当たり前」だと思って、変える事はしない。





だもんでどんなに買いやすそうな言葉が並んでも反応ができない。


「ごめんね」でも
「あ」でも
「はい」でも
「うんこ」でも
「ちんこ」でも



相手は怒ると思う。不適切なワードも含まれているがどれを言っても同じだと思う。ソレぐらい私の発する言語に価値という言葉の意味がない。



相手の反応がある=拳を下ろせる相手がいると言うことになる。だから拳おろし放題になってしまう。



ここで反応がない。正確には反応があるけども、言葉を買わない場合はどうなるか。


怒りの拳を振り上げた相手に反応がない。怒りは行き場がなく自分に。自分の心に言葉は返ってくる。
吐き出すべき量と心の曇りの蓄積がイーブンにならない。どれだけ吐きだしても自分に返ってくる。

優しい人なら尚更そうだろう。人に悪口を言わない、言えない。身近な人間にそんな言葉使うだろうか。使わないよねぇ。


怒りの下ろしどころの無さと、優しい自分の心に返ってくる反動で妻はちゃぶ台返し返し。つまり元の位置に戻った。星飛雄馬のおっとつぁんもびっくりの高等技術!一通りの投擲物を投げ(ただ痛くないものを選んでるのでその辺りはまだ理性があるんだろうなぁ)それでも反論をしない私に彼女の心はパンクし、どっかに行ってしまった。




文字通りどっかに行ってしまったのだ。車で。













まぁ今まで家出したことのないタイプだから家出もたまにしたくなるよね。ワシもある。


と言う事で部屋を片付けて考え事をする。











あの状態は普通だろうか?






彼女自身の事は何とも思っていない。しかし、彼女の今の状態異常はいくら何でもなところがある気がする。変だぞ。あれ。




妻は普段からそう言うことをするタイプではない。機嫌の波はあるがああいった行動はしない。普段からああだったら結婚はできていない。



相手も自分自身に「カッとなるとスピニングバードキック!!!」みたいな面があると勘違いしてほしくはない。だって普段からあんな大技できてたら職種が違う。



だから彼女自身の話をしているのではない。彼女の今の体調とか心理面の話をしている。それは彼女の本質とは別物なのだ。







そんなこんなで弾き出された結論がホルモンバランス。所謂生理前。

私は男性なのでこの辛さがわからないが。大抵の喧嘩が発生するのはこの期間である。統計取ったらバーン!って棒グラフ跳ね上がってっから。「勃起ィ!!!」って二瓶鉄造も大喜びよ。

もうこればっかりは人間の体の作りではあるので仕方がないのだが、月に数回確定イベントになってしまうのは心が辛い。
こちらの心は辛いのだが、もっと辛いのは女性の肉体で生きている多くの人々である。
普段平静を装っていてもあんなに辛い気持ちなのかと考えると胸が痛む。自分が自分でなくなってしまうけど、それを自分として付き合っていかなくてはいけない矛盾のような膿。


それを取っ払って云々ってのは早計であるんだけどね。そんなん無理だし。あと程度は人によるし。





でもまぁ何があってもホルモンバランスだなの方が私個人としては納得がいく事が多い。

豹変というレベル感で変わってしまう自分の近しい人を見ると「薬でもキメてるのかしらぁん?」って位変わるんですもの。

普段言わない言葉だって、しない態度だって、本当はそうしたくないのにイライラが止まらないんだろうなぁ。ただ目の前にいるだけでもイライラして仕方がなく、そのイライラのやりどころのなさに目の前の耳ついた肉塊(私)に言葉を吐くしか術がない地獄。



やっぱりそんな状況で売られた言葉は買う気には。ならんよなぁ。






どれだけ黙っていることを咎められようとも、己の内の劫火で自分を燃やしながらかけられる言葉に正論のような自分の正義で同じように拳を振り上げる事はできない。


私は拳を上に上げるのではなく、下から手を差し伸べて、ただ待つぐらいしかできない。
まぁ差し伸べたところで、「何差し伸べてんだワレェ!!!」って怒鳴られるんだろうけど。それもまぁ今体がバーニンッ!!!してっから仕方がないんであってね。


そうはいっても納得がいかんのですわという気持ちもある人も世の中にはたくさんいると思う。メンズ。わかるよ。私も良くわかんないもん。男だからサ。



何かにつけて覗き見える一瞬こそ本質が見えると言う人もいるが。







私に取っての人の本質は、つい出てしまうみたいな一面ではなく普段どうしてるかとか普段どういう動きかとかそんなもんである。つまり全面。
小さい毎日の付き合いが私の中のその人を作っていく。




私は人の顔と名前を覚えるのが苦手だ。でも、沢山そして長く話したり笑ったり凹んだりした人の顔と名前はよく覚えている。
何を当たり前な。と言う話だが、つまりはそう言う事だ。当たり前のところが本質なのだ。





だから妻がどれだけ怒り狂い歴代ハリケーンや台風や大地震のように暴れたとしても。

生理前だったりしたらもうそれはなんか考えるだけ仕方のない事である。きっかけになるかもしれない私の行動は注意深く省みる必要はあるが、もう天災はどう足掻いても天災。



妻の本質は私の中では揺らがない。




でもまぁ腫れ物扱うようにするだけではなく。その天災は人間由来なんだから。寄り添ってあげないといかん。



人間はいつまでも怒る事はできない。怒り続けた先は虚しさと悲しさと苦しみだ。
であればその時にその話をケラケラ笑い話にできなくてはいかん。失礼か?失礼かもしれない。
あの場にいた人は本当に君だったかね?私にはそうは思えない。君の一部かもしれないが、君自身では無いような気がしている。


だからまぁ、全部ホルモンバランス。お宅の喧嘩も喧騒も取っ組み合いも離れて眺めればシマチョウとかカイノミとか内蔵系の話ばっかりなのだ。





というわけで妻は翌朝ちゃんと布団で寝ておった。二言三言、流れるようなラッシュで罵られたが、寝起きで良くそこまで怒れるなぁ…とびっくりのレベルである。まだ体調が良くないようだ。数ヶ月続いたらそれは本質に塗り変わるのかもしれない。そういった余裕のある態度が気に食わないと言われる。まぁそうだよねぇ。イライラしてるのが片方だったらそりゃ不公平感あるよねぇ。




でも、みんなでイライラしたって仕方がないし。
誰かがイライラしてたら誰かが助けなきゃでしょ。私はあなたに言葉として今憎まれていますが、私は今あなたを憎んでいませんので。なんなら布団でもうふた眠りくらいしても良いのでは…?





女性は・・・本当に大変だよなぁ・・・気分の上がり下がりがコントロールできないのが月に必ずあるって・・・

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