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1997年3月 イタリアあんがいほの暗い2

【まとめ】二日目は、ツアーを離れていきなり個別行動となったN&meの二人組。
まずは翌日予定したフィレンツェ行きの列車時刻と切符の買い方確認のためTermini駅に。その後地下鉄でバチカン市国、その後バチカンに近いローマ市内の現代美術館へ。挙動不審なおのぼりさん、参ります。

3月6日(木)
ホテルにて朝食。

パン大きくて美味し。

その後、専用バスで市内観光に行った団体さんに別れを告げ、N&meが向かった先は、フィレンツェ行きの電車が出る国鉄Termini駅。
ここで、明日の電車時刻が8時15分と確認して、切符の買い方も窓口等でチェック。
うん、大丈夫そう、ということで今度は地下鉄に乗ってバチカン市国最寄り駅まで。

不穏ながらちょっと派手な地下鉄電車。

地下鉄は妙に仄暗く、乗っている人々もあんがいうつむきがち。しかし、背負っているリュックや履いている靴など、微妙にカラフルでさすがイタリア、って感じだった。
揺れのひどい地下鉄でどうにか、目的駅に着く。

バチカン市国入り口まで歩くが、なぜか市国の境は板塀だった。

そして、坂もきつい。

「車が多いですなあ」「いや全くですな」

美術館入り口は行列だった。

なんとか中に入る。市国内はやっぱりこじんまりとした感じで、円形で、居心地良さそう。

衛兵に、スイスからの出稼ぎの方々を見た。

システィナ礼拝堂は大掛かりな修復工事の真っ最中で(けっこうずっと修復中らしいが)、あちこちに工事のやぐらが組まれている。

やぐらの合間から、図録でおなじみだったあんな絵こんな絵が見えていて、感動しまくる。

市国はもちろん自治国家なので、郵便局もちゃんとしている。

万国のうっかり者に捧げる標識も充実している。

出入り口の螺旋階段がとにかく、美しい。

そしてシスティナ礼拝堂の上?下?には近代美術棟がある。ルオーの部屋が特に良かった。

カフェでお昼ごはん。パン、チーズ、ソーセージの盛り合わせ。ミネラルウォーター。けっこうしょっぱかったんだよ、これが……

市国の外に出る。焼き栗を売っている屋台が多く、一つ買い求めようとしたのだが店の人がいない様子。昼休みなのか? と店前をうろうろしていたら、遠くからおっさんがふたりくらい、大声で叫んでいたので、何ですか? と(英語で)聞いてみたが通じず、あっちに行け!と追い払うジェスチャー。そして十字を切っている。屋台荒らしの異邦人め!と思われたのだろうか、しかたなくその場を去る。うーん、残念。栗は気になるんだが!

一応、桜並木らしかった。

気を取り直してガイコツ寺として有名らしき場所を訪ねる。が、閉まっていた。ここも残念。

字体と矢印がお洒落

代わりにと言ってはなんだが、現代的ガイコツをみかける。

国立近代美術館Galleria Nazionale d'Arte Modernaに入り、まったりと見回る。残されているのは切符のみだが、多分色々観た。

チケットもとても素敵。

今日の所はこれで良しとしてやろう、とふたりでようやくホテルに戻ると、オプショナルツアーのディナーどうしますか? と添乗員Tさんから聞かれて、
「ああ…テキトーにどこか探して食べるので結構ですよ」
と答えると、なんと
「実は、これから現地の友人と晩御飯を食べに行くんですが、どうですかご一緒に?」
とステキなお誘いを受けた。断らないはずがない。

添乗員Tさんに呼び出されてホテルまで来てくれたお友だちは、物腰柔らかな若い日本人男性で、ローマ市内で観光客相手にカメラマンや現地ガイドをしているというSさんという方だった。

はじめは、近くのイタリアンレストランにて夕飯(当時は出されたお店の食事を撮影するという習慣があまりなかったせいか、このへんの写真は残っていない)。
びっくりしたのが、色々頼んでから皿が届き始め、食べ始めてからしばらくしてボーイさんがお盆にモッツァレラチーズのたっぷり入った皿を載せて早口でまくしたててやってきたことかな。
サービスなの? と私たちおのぼり組は思ったのだが、そこに添乗員Tさんはすかさず「のん! のん!」と手で追い払った。ボーイさんは特に気にした様子もなく去って行く。
後から聞くと、追加でこちらもいかがですか(もち、有料だが)、という宣伝行為らしい。さすが旅のプロ。追い払い方も慣れたものだった。

夕食も済んでから、ホテルから少し離れたトラステベレTrastevere地区に美味しいピザ屋さんがあるというので、とりあえずまだ胃に余裕があるか分からなかったけど、のこのこついて行く。

店構えはごく普通の下町っぽいお店で縦に長い。そして、客層もそんじょそこらの人たちだった。
TさんSさんが二枚ずつピザを頼むので、そんなに食べられるの?と訊いたら
「ここのは皮が薄くていくらでも食べられるよ!」と。
確かに、他の席を見てみるに、誰もが大きなピザを切りもせず、端から丸めて筒状にしてから恵方巻みたいに食べている。
注文のお品。皮がパリパリに薄くて、具もさすが本場ですね!的な美味しさ。確かに何枚でもいけそう。
TさんとSさんのディープなイタリア界隈の話を楽しく聞きながら、とっぷりと夜はふけていったのでした。

ピザ屋の店先にて。

例えば、ローマでは路上駐車が一般的で、道端に二列縦隊で駐車しているのはよくある話。そしてサイドブレーキは引かずに停めておく(坂だったらどうなるのか、聞いたかも知れないが忘れた)。そして、自分の車を道路に出す時には前後、たまに横にドシドシとぶつけながら隙間を空けて出て行くのだそうな。

Sさんに、お世話になったお礼に帰ったら緑茶とかむこうのお菓子とか何か送りますよ、と言ったら、哀しそうな笑顔で
「いや、どうせ郵便物盗まれちゃうんで、お気を遣わなくていいですよ」
と。

そうなんだ……ドイツとか、日本とか、逆にちゃんと郵便届くのすごい。
と素直に思えましたよ。





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