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読書記録「世界でいちばん透きとおった物語」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、杉井光さんの「世界でいちばん透きとおった物語」新潮社 (2023) です!

杉井光「世界でいちばん透きとおった物語」新潮社

・あらすじ
藤阪燈真ふじさかとうまは幼い頃の病気の後遺症で、本を読むのが困難だった。電子書籍では問題ないのだが、紙の本を読むと文字がチラついて苦痛なのだと。

燈真はいわゆる愛人の子だった。校閲者の母 恵美めぐみと有名推理小説家の父 宮内彰吾みやうちしょうご松方朋泰まつかたともやす)。母が堕胎の提案を拒み、生まれたのが僕だ。

その母も僕が18歳の頃に交通事故で亡くなり、その2年後に宮内彰吾も亡くなった。癌だったそうだ。

とは言え、燈真にとって宮内彰吾は父と呼べるような間柄ではなかった。遺族でもなければ、遺産相続も期待してなかった。

そんなある日、宮内彰吾の実の息子である松方朋晃まつかたともあきから突如連絡が来る。

彼が言うに、宮内彰吾が死ぬ間際に書いた600ページもの原稿用紙があるはずだと。親父の遺作「世界でいちばん透きとおった物語」を探し出せと。

宮内彰吾に親しい人物に会いながら、「世界でいちばん透きとおった物語」の真相を追う燈真。

果たして、彼が最期に遺した作品はどんなものだったのだろうか。

東京読書倶楽部の読書会にて、「この本は電子書籍化はおそらくできない」と言われたのが印象的で、一気に読み終えてしまった次第。

紹介を受けた当初は、電子書籍ではできないとはどういうことだろうかと思ってたが、読んでみて納得。確かに紙の本だからこその作品だった。

物語を追うだけならば、電子書籍でもできる。ただこの作品の真髄を味わうには、文庫本でないといけない。

透きとおっていれば――だれかが見つけてくれる。

同著より抜粋

※ 以降、若干のネタバレ要素あり。


ちなみに、私が明確に違和に気づいたのが137頁。いくつかヒントは出ていたため、もっと早く気づけた人も多いはず。

正直に言うと、違和に気づいてしまったがゆえに、最後のどんでん返しを期待しすぎてしまった節もある。

違和を踏まえた上の、トリック的なものがあるのかと。

でもそう思ったのは、私のための物語ではないからだとも思う。

面白いか否かとか、価値があるかとか、そういうベクトルではなく、私のための物語ではなかったのだと。

もちろん、作品自体は面白かったし、違和とは異なるミステリーな要素も楽しめた。読んでみて、私の意図を汲んでもらえれば幸いである。それではまた次回!

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