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読書記録「美女と竹林」

川口市出身の自称読書家 川口竜也です!

今回読んだのは、森見登美彦さんの「美女と竹林」光文社 (2008)です!

森見登美彦「美女と竹林」光文社

・あらすじ
作家 森見登美彦は悩んでいた。当時執筆中であった「夜は短し歩けよ乙女」の結末をどうするべきかという緊急課題を脇に置き、これからの人生を如何に生きるべきかと。

その時森見登美彦の目に飛び込んだのは"多角化経営"の文字。

これからの時代、一つの収入源だけで生きていくことが厳しいと言われている中、小説を書くことだけに打ち込むのは如何なものかと。

そこで思いつくまま心に惹かれるものを手帳に記した。

『美女と竹林』

美女に惹かれるのは言わずもがなである。

竹林については、幼少期に連れられていったタケノコ掘りから始まり、中学時代に読んだ「竹取物語」、大学二回生の演習で調査した竹林であったりと、森見さんは竹林への愛があった。

「そうだ、これからは竹林の時代であるな!」

2007年 森見登美彦は竹林経営へ乗り出す。

だがその道はかくも過酷であった。
襲いかかる藪蚊、肉体を蝕む筋肉痛、編集部の反対、押し寄せる締切、そして怠惰な心が森見氏の道を阻む。

2017年 MBC(モリミ・バンブー・カンパニー)の月面植林計画のプレゼンテーションと突如の衰退は今なお業界で語り草であろう。

森見登美彦氏がいかに竹林経営に乗り出し、数々の逆境に立ち向かいながらも繁栄を極めたMBCの軌跡と衰退を自身の想いと共に記す。

…ちなみに、この本は"エッセイ"のコーナーに陳列されている。

エッセイとは書き手の体験や知識から思いつくままに書き連ねた散文である。その体験が事実であるかはこの際どうでも良い。

そもそも森見さん自身が本当に竹林を刈りに行ったのかも信じがたい。

しかも、この本に『美女』は登場しない。

なぜなら美女と竹林は等価交換にあるからだ。美女は竹林であり、竹林は美女である。かつてかぐや姫が竹から生まれでたように、竹林ある所に美女あり。

つまり、いつもの森見ワールド全開のエッセイである。まるで京都に一緒に訪れたような没入感とヘンテコな話が楽しめる作品でした。それではまた次回!

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