アスファルト、タイヤを切りつけながら

 今日の来客は車検をしてもらってるいつもの人で、不動になった車を引き取りにきた。積載車運転はその方の知り合い。
 到着したので家を出て挨拶をし、車検の残金をお渡しし、今日は何かお手伝いすることは、と申し出ると笑いながら「いや特にないわー」とおっしゃり、ワイヤーを不動車につなぐ。路上に横たわって作業をやり終えた彼はもう一人ではなかなか起き上がれない。すぐ手を引いて腰を抱いてアシストする。立ち上がってから「もうこのぐらいのこともできない」とかいう。抱き起しながら、いま私は十年前の父みたいな方を助けているなとかいろんな感情が出てきた。父への孝行の延長線上にあるなあと思った。

 注文している部品が届いたらまた来て下さるらしい。

 家の前がすっきりした。路上駐車の車がなくなった。ずっと路上駐車していた車の下の舗装道路から、舗装を突き破って各種の雑草が茂っていた。
アスファルト、タイヤを切りつけながらをされなければ半年でこうなるんだわ。過疎地の廃墟建物群もきっともっと楽に自然に帰るだろう。

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