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【ごま塩さんの神対応】

※この投稿は2019年2月22日にSNSに投稿したものをリライトしています。

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珍しく凹みまくった翌日の朝にうつむき加減で電車を待っていたら、満員電車のドアが開いた途端、僕と同い年くらいの男性が電車からホームに倒れこんだ。キャーという悲鳴とともに周りの人々で救護…。という事件があった。

実は最初に機敏に動いて、僕に「駅員に走って連絡してください」と指示したのは、60歳を超えたくらいのお世辞にもかっこいいとは言えない、あえて言うなら、コートもよれよれ、汚れた靴、時代遅れのダサい鞄の、ごま塩頭のサラリーマンおじさんだった。

手慣れた手つきで男性を電車から黄色いホームまで離して、僕への駅員応援要請の際には「緊急ベルではなく走って駅員さんに!」という電車を遅らせない配慮までされていた。

(実はその電車自体が別の駅の急病対応で遅れていたので、少しでも更なる遅延要素を発生させないようにという配慮だったのだと思う)

周りの方が避けて電車に乗り込む中、男性の目の前に立っていた若い方とちょっと離れていた僕とそのおじさんと3人で、その方を抱えながらベンチへ移設する際にも、顔色のチェックや呼びかけなどすべてが的確だった。(と思う)


おじさんは大事に至ってなさそうな様子を確認すると、さっと自動販売機で水を購入してその男性の口に「お水のみますか」と差し出していた。


駅員と救護隊が到着して、簡単なやり取りをしてるうちに2本電車が通りすぎ、「あとは大丈夫そうですね、それではよろしくお願いします」と言って、僕と若い人へ目配せをしてそのおじさんは「じゃ」と離れていった。

背中がめっちゃかっこよかった。


若い人となぜだか「ありがとうございました」と言いながら見送った。3人とも東京方面の上りにこれから乗るので、離れていく必要はないんじゃないかと思ったけども、何となくおじさんの流儀のような気がした。(短時間だったので僕の印象でしかないけど非常に口下手そうな方だった)


先日「15時17分 パリ行き」(クリントイーストウッド監督作品)という、フランスの電車内での無差別テロ犯に勇敢に立ち向かい犯人を取り押さえ、撃たれた男性を賢明に救護したアメリカ人の男性の映画をみたのだけど、ホームでそのことをふっと思い出した。

あの映画を見なかったら、ちょっとだけ離れていた僕は果たして動けたのだろうか?!そして、あのごま塩おじさんほどの勇気が出なかった自分に足りなかったものって何だろう?とそのあとずっと気になっていた。

それだけの話なのだけど、人生の価値はおじさんの勇気にあるような気がした。イノベーションもクリエイティビティもエクスポネンシャルグロウスも、その勇気の前では何の価値もないなと。

勇気を持たねばと思った。


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