見出し画像

口癖を外で言ってしまいませんように

 飼う予定はまったくないけれど、夫も私も動物を見るのがけっこう好きで。近所の犬を愛でつつ、やっぱり世話をする責任を背負いきれないなあと思う。
 猫と暮らしたことはあるけれど、飼っていたのはルームメイトだし、1年も満たないほどの間だったけど、その大変さは垣間見えた。旅行も1泊以上空けるとなると互いの負担にもなる。
 だからせいぜいテレビ番組やネットで上がる犬や猫を楽しむ。動物を出しておけば視聴率は上がるのさ。なんて言われて久しいけれど、私たちはそれにやすやすと乗っかる薄っぺらい夫婦なのさ。

 夫はインスタも楽しんで見ているので、お気に入りの動画があると「見て見て~」と見せては「可愛い~」と目じりを下げている。私もだらしない顔つきで見てしまう。中年夫婦が2人でデレデレスマホをのぞきこむ。
 そんな気持ち悪さなど簡単に超えて、夫はよく「にゃー」と返事をする。そこには猫への愛だけでなく、返事をする面倒くささが混じっている。だから子供が大きくなるまでは控えていたようだ。子供がそんな返事すると困るからね!

 「おはゆー(私)」に対して「にゃー」。
 「これ要る?」に対して「にゃー」。
 どっちよ。とプンスカしていても「にゃー」と言って笑っている。どっちだって良いのだろうと、こちらの都合の良いようにさせてもらう。

 ある日は、何かの受付カウンターでお姉さまに説明をされ「以上です。それではあちらへどうぞ」と言われて、夫が「にゃー」と言ってしまったことがあった。

 後ろで静かに笑い転げた。
 ほらーいつも「にゃーにゃ―」言うから、そんな時出ちゃうんだよ! と後で注意するとすごく恥ずかしそうな顔でうつむいていた。

 ところが最近の私。
 ピアノの練習をしていて何度弾いても同じ所で間違う時に「にゃー!」と言ってしまう。
 ゼルダ新作を始めて、祠をスムーズにクリアできないことがあると「にゃー!」と言ってしまう。
 言い終わってから気づく。

 最近は、クシャミがいったん止まる度に「にゃー!!」と家の中で一人でうめいてしまう。
 ちょっと前までは、「んあー!」だったはずなのに。

 でも言う度に「あっまた言っちゃった」と気づいているうちは良い。
 アレルギーであっても、薬をのまずにおさまるかなと少し我慢することもある。外でクシャミ連発した後「にゃー!」とうっかり言っちゃいませんように。



読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。