人間は、泣いたり笑ったりしながら暮らしている【タクシー運転手 ~約束は海を越えて~】を観て
日韓関係が、少々心配な昨今ですが、ちょっと前に、1980年の光州事件を扱った映画を観ました。韓国でとても評判になったようで、その話題性で観ることに。
1980年と言えば、私が9歳になる頃。帰国して2年。ニュースなんか全然頭に入ってこない頃。テレビでニュースをやっていても意味がよくわからなかったし、新聞は小学生新聞を読んでいたっけ。そこでも漫画を中心に読んでいただけのような。
韓国で光州事件があった、って記憶の片隅に、その名称があるくらいだ。
ものすごく簡単に書くと、民主化を止めようとした軍部隊と、民主化を求める市民たちが衝突した事件。
光州での街頭デモで銃撃戦となったのだが、政府側が徹底してそれを隠そうとしたところを、ドイツ人記者と韓国人のタクシー運転手の奮闘によって、何とかそれが公のものとなる。
その実話が「タクシー運転手 ~約束は海を越えて~」として映画になっている。
*ネタバレあります
光州で、様々な人と触れ合うことになるソウルのタクシー運転手。
最初は「危険な目に遭わないで、早く娘に会うためにソウルに帰りたい。そして乗車賃さえ払ってもらえたら良い」それだけの気持ちでいっぱいなのだが、光州での悲惨な様子を目にし、ドイツ人記者と共に、辛さ、哀しみを分かち合う。ところがニュースで流れる内容は全然違うものであり、命をかけてでも真実を何とか伝えたいと思うようになる。
私が印象的だったのは、そこにいる人々同士の関わり方。
「同じ人間なんだな」とほのぼの心が温まる。
困っていたら互いに助け合う。冗談を言い、フザけて、それに対して笑い合う。
人間は誰だって、目の前の出来事、生活に対し、同じように笑ったり心配したりしながら、日常を一生懸命暮らしている。
人の考え方、生活する背景、文化は違っても、本質的な感情は同じなのだと思い出させられる。
そして同時に沸き起こる「同じ人間なのに」という思い。
自由を求める市民たちに対し、銃を向け手を上げる軍隊。画面を観ていてとても胸が詰まった。同じ国籍だとか民族だとか人種だとかじゃなく、人間として、こんな争い事は辛い。自由を求める人々に対し、殺すか殺されるかのような事態になるなんて残酷だ。目の前で観たら、私たちが映像で観る以上のものがあるだろう。家族や友人を失ったら……。
このような事件、歴史に関してもショックだったけれど、物心ついていた頃に起きた事件だったのに、これまでよく知らないでいたこともショックだった。
知らないことって頭がクラクラするほど多くて、自分はホントにちっちゃな世界の中で生きているんだと気が付く。
だから私たちは、新しいこと一つ一つを知る度に、謙虚な姿勢を失わずにいたい。知らなかったからと目を向けようともしない、なんてことのないように。
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読んでいただいて、ありがとうございます! 心に残る記事をまた書きたいです。