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神戸ルミナリエ~その光と闇     ~第1回 4年ぶりに復活したルミナリエ

川瀬流水です。能登半島地震は、いまだに被害の全容が明らかになっていまふせんが、神戸に暮らす私には、新年を迎えた1月の寒い朝の気配とともに、29年前に発生した阪神・淡路大震災のことが鮮烈に思い出されます。

大震災の犠牲者を鎮魂するイベント「神戸ルミナリエ」が4年ぶりに復活しました。開催時期をかつての12月から1月に変更し、1月19日から28日の10日間、新たにメリケンパークを会場に加えて再スタートしました。会場は、拠点となる東遊園地エリア、その西の旧外国人居留地エリア、そして南に下った海沿いのメリケンパークエリアとなっています。

神戸ルミナリエ周辺図

 1月22日(月)に現地に行ってきましたが、今回の見どころは、やはりメリケンパークといえるでしょう。ここは有料エリアで、大人当日券1,000円ですが、前売券は半額500円、子供は無料です。当日券は人数制限される可能性がありますので、次回見学を検討されておられる方には前売券がおすすめです。入口を飾る「フロントーネ」、メインとなる光の回廊「ガレリア」は、鎮魂にふさわしい落ち着いた輝きを放っており、お金を払ってでも観る価値はあったように思います。

ハーバーランドから眺めたメリケンパークエリア
メリケンパークエリアの入口を飾る「フロントーネ」
インとなる光の回廊「ガレリア」

会場東隣には、被災したメリケン波止場の岸壁の一部が当時のままの姿で保存され、ライトアップされていました。地震の災禍を目の当たりにできる貴重なポイントを、ルミナリエとともに見学できることは、とても重要なことのように思います。

保存されているメリケン波止場の岸壁(一部)

 そして、是非立ち寄ってみていただきたいのは、ルミナリエの拠点、東遊園地エリアです。ここは、神戸都心のJR三ノ宮駅から、メインストリートであるフラワーロード沿いに少し南に下ったところにありますが、これまで何度も大きな被害を受け、被災者支援の拠点となってきました。

86年前の1938(昭和13)年に発生した阪神大水害は、梅雨末期の集中豪雨により六甲全山で複合的な山崩れを起こし、土石流が山津波となって神戸阪神間の諸都市を襲いました。全域で700名を超す未曽有の大水害となりました。被災当時、神戸都心部では、河川改修によって廃川となった旧生田川が市電の走るメイン道路(現フラワーロード)に生まれ変わっていましたが、土石流がこの道路に沿って一気に流れ下り、三ノ宮駅・旧そごう神戸店(現神戸阪急)などの周辺施設に壊滅的被害を与えました。東遊園地は、被災者のための避難場所となって、人々の支援に大きな役割を果たしました。

まだ我々の記憶に生々しく残る1995(平成7)年の阪神・淡路大震災においても、仮設住宅が設けられ、炊き出しが行われるなど、再び被災者支援の拠点となりました。毎年開催されてきた「阪神淡路大震災1.17のつどい」もこの地で行われます。訪れる人々に希望の光を与える神戸最強のパワースポットのひとつといっても過言ではないでしょう。

被災者支援の中心となった東遊園地(昼間)

東遊園地エリアでは、光の壁掛け「スパッリエーラ」が、東西に東屋「ガゼボ」を従えて、公園広場を見下ろすようにそびえたち、この地の往時の思い出を偲ばせてくれました。エリア内には、多くのショップも立ち並び、グルメや買い物も楽しめました。

東遊園地にそびえたつ「スパッリエーラ」と東西の東屋「ガゼボ」
立ち並ぶショップ

次回は、ルミナリエ会場とは少し離れますが、神戸一番の繁華街である「東門筋」(ひがしもんすじ)について、大震災の忘れられないスポットという視点から、取り上げてみることにしましょう。

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