川瀬健人

知的財産に関する情報を取り扱っています。外資系企業に5年、内資企業に5年、通じ10年の…

川瀬健人

知的財産に関する情報を取り扱っています。外資系企業に5年、内資企業に5年、通じ10年の特許調査・分析・コンサルティング経験あり。今は独立し、インド、Parintek Innovations Incと提携してコンサルティングを行っています。

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最近の記事

久しぶりに特許分析(物流)の記事を書かせていただきました

川瀬知的財産情報サービスの川瀬です。インド、Parintek Innovations社と共同して受託調査を開始してから丸々2年が過ぎました。仕事を続けさせていただいております。日々、感謝しています。 直近では、株式会社知財ランドスケープの山内先生にお世話になる機会が多くなっています。今回の記事寄稿も先生のご紹介によるものでした。 詳細はこちらのURLからご覧になっていただければと思います。私としては物流の分析を忠実にしたつもりですが、自動走行の話題が避けて通れませんでした

    • 量子コンピュータ D-Wave苦戦??

      特許情報と非特許情報の両方から量子コンピュータを例に調べてみました。調べているうちに、「え?なんで?」というところにたどり着いた例です。 まずは「引用」「被引用」に着目して図を書くことを目的にしました。下の図がその図です。 検索条件は簡潔なもので、下記の通り、「タイトル・要約・請求の範囲」にキーワードを含むか、全文にキーワードを含み、かつ、クラスコードG06N-010が付与されているものを対象にしています。 結果を、出願人×引用公報名義でクロス集計。日本企業をハイライト

      • 良書というのは…ある

        久しぶりにしっかりと時間を取って、Japioに掲載されていた論考群を読んでおります。「知財情報戦略」についての論考でした。 実に重厚でした。一言一句、無駄のない文章を久しぶりに見た思いがします。一念発起して、勉強しております。 1. 良書と文章私の主観にすぎませんが、手書きで書かれたことがわかる文章を、私は良書と理解している傾向が高いようです。 手書きという作業は、これから書く内容を著者の頭の中で整理し、一字一字を言葉にして紙の上にまとめていく作業ですから、高い集中力を

        • 「米・中・日」のインド出願 日本はインドにある中国企業の特許に気が付いているか?

          今回は、「米・中・日」のインド出願を企業ごとに検討し、どのような企業がインドに積極的に出願しているのかを俯瞰しました。 日米だけでなく、中国も加えて、誰がインドに市場性を見ているかをマクロに見る試みです。 1. 全体像まず、日本企業・米国企業・中国企業のインド出願がどのように推移しているかを確認します。 データの出所はOrbitです。 インドの出願を見ていると、どうやらパリ条約ルートではなくPCT出願を経由しているものが多いようで、2018年のデータがかなり少なくなる

        久しぶりに特許分析(物流)の記事を書かせていただきました

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          米国企業と日本企業のインド出願の違いを見る 米国企業はインドを知的資源として使っているといえるか?

          特許情報を用いて、「定性的な仮説」をどこまで検証できるかを、試してみた記事です。 上の図をご覧になってください。インドに出願している日本企業のトップ20位を取り、出願分野を色分けしたものです。下に、インドに出願している米国企業のトップ20位を取り、出願分野を色分けしました。 漠然と、「米国企業の方がインドの人材を活用しているのではないか?」と思いつきました。色分けは産業分野と対応させました。 これを分析に適した仮説に直します。仮説として、「米国企業はインドをR&Dの拠点

          米国企業と日本企業のインド出願の違いを見る 米国企業はインドを知的資源として使っているといえるか?

          特許書誌分析・情報収集分析 ユーグレナの「キューサイ」買収について

          昨年末から今年にかけて話題になったユーグレナ社の買収について、私淑している野崎氏が分析記事を書かれれおりました。 野崎氏は方法論の解説に鋭い切れ味があると考えております。 特に、2020年の記念すべきオンライン特許情報フェアにおいて、ブースで取り上げられた機能性食品についての資料などは秀逸でした。ウェブサイト上には公開されていないようで少し残念です。 野崎氏は、「キューサイの健康食品関連出願によって、ユーグレナの健康食品関連出願ポートフォリオが強化されていることを示すこ

          特許書誌分析・情報収集分析 ユーグレナの「キューサイ」買収について

          米国企業と日本企業のインド出願の違いを見る インドは知的資源と考える方が良いのではないか?

          本日は米国企業と日本企業のインド出願の違いからいくつかの仮説をご紹介したいと思います。 実際、これほど大きな差が出るとは思っておらず、悩んでいるところでもあります。 Questel社のOrbit Intelligenceを用いました。検索条件は、以下の二通りです。 日本については、①日本企業による出願であって、②インドに出願しているものを対象とし、③2010年から2020年までに出願された公報を、ファミリ単位で抽出しました。④Orbitの分析モジュールを用いて、総数37

          米国企業と日本企業のインド出願の違いを見る インドは知的資源と考える方が良いのではないか?

          サービス紹介⑩ 一緒に仕事をする意味

          今回は調査を外に依頼する意味についてご紹介します。私は日本のお客様にインドの調査会社と協力するということを選択しました。「コストで競争力があるから」だけではありません。「私に足りないもの」が、「特許を取り扱う技術者としてのスキル」・「知的財産を取り扱うスキル」であり、「彼らこそがそれを提供できる人物であると確信」したためです。 知的財産権・知的財産に関する活用方法(これらを総称してIPランドスケープと呼ぶのが適切と思われます)が様々に提唱されています。欧米企業の成功例をから

          サービス紹介⑩ 一緒に仕事をする意味

          サービス紹介⑨ 知的財産の棚卸し ライセンス戦略の一環として

          知的財産部がコストセンター化しないように、ライセンスを計画的に進めることが考えられることを先日はご紹介しました。今回は知的財産維持費用を削減する、一見ライセンスと関係のない「特許の棚卸し」についてご説明します。 川瀬知的財産情報サービス、および、Parintek Innovationsは、特許の棚卸は、ライセンス戦略の一環としても有用だと考えております。 知的財産という用語は実はあまり適切に対象を示していない用語です。技術そのものも、知的財産です。経験も、慣れも、知的財産

          サービス紹介⑨ 知的財産の棚卸し ライセンス戦略の一環として

          サービス紹介⑧ 知的財産部をコストセンターにしない ライセンスのTIPS

          先日に引き続き、ライセンスを考慮に入れた知的財産の取得についての話を紹介します。出願には費用がかかり、権利の維持にも費用がかかる。ゆえに、知的財産部はコスト・センターとなりがちという側面を持っています。 しかし、「日本企業は知的財産をコストとして抱えてしまい、海外の企業はライセンスを活用している」という記事を見かけたならばーそれは多くの場合正しくないでしょう。 ほんの数年前のことですが、私が外資系の調査会社にいた折、同僚だった元米国審査官は「欧米企業に知的財産の活用がうま

          サービス紹介⑧ 知的財産部をコストセンターにしない ライセンスのTIPS

          サービス紹介⑦ 出願前調査にプラスα 誰がための出願なるや?

          知的財産部門の果たすべき役割が変容を求められているという昨今ですが、まずは、出願を「精査」することで、コストセンターから、収益源として認知させるという、遠回しな方法に着眼してみるのはどうでしょうか。出願前調査に「少し」作業を加えるという話です。 川瀬知的財産情報サービスは、出願はビジネスのためにあると考えています。Parintek Innovationsの代表らと話をしていても、特に彼らと見解の相違はないので、英語圏では一般的な考え方のようではあります。 一方、「出願」は

          サービス紹介⑦ 出願前調査にプラスα 誰がための出願なるや?

          サービス紹介⑥ 校正(Proof reading) / ドラフティング (Drafting) サービス

          英語ができるだけで世界が違うということ書きましたが、今回は、「それだけでは足りない」という例をご紹介したいと思います。 今回の表紙は、米国の登録公報から引用しています。スペルミスや、不正確な用語があることにお気づきでしょうか。"unwrap"と"unwarp"を記載ミスしています。そこは許すとしても、「FIG'S」(単数形)と「FIGS」(複数形)を記載を誤っています。 実はこうしたケースは少なくありません。「ネイティブだから」といって正確な言語をかくわけではないのは、日

          サービス紹介⑥ 校正(Proof reading) / ドラフティング (Drafting) サービス

          その道はどこへ? 攻撃的な出願と防御的な出願

          昨年来、出願にかかわるインドの方々とお話を続けているうち、ふっと気にかかってきた言葉があります。それは、攻撃的な出願(戦略)、防御的な出願(戦略)という表現でした。 自分なりに考えた結果、「アップルはスマートフォン市場において、防御的な出願戦略をとっている」という結論にたどり着いたので、皆様にご検討をいただければと思います。 私は、「攻撃的な出願(戦略)」と「防御的な出願(戦略)」を、下記のように定義しました。 【攻撃的な出願(戦略)】①ライセンスを行うことを念頭に自社

          その道はどこへ? 攻撃的な出願と防御的な出願

          サービス紹介⑤ EoU 実施確認調査

          今回はEoUいわゆる実施確認調査を紹介します。表現が揺らぐことが多いのですが、侵害実施証拠調査、侵害調査など表記ゆれが激しい調査でもあります。この調査は情報というよりは証拠収集に近いので、類型としてちょっと変わった調査です。 知的財産を取得しただけでは、知的財産の活用をしているとは言えません。当然、模倣されている技術に対し、警告状を送り、ライセンス料を求めるなり、差し止めを求めるなりをする必要があります。 ただ、その前に、①自分の特許がが無効化されないか、の調査と、②実際

          サービス紹介⑤ EoU 実施確認調査

          サービス紹介④ "State of Art" 技術調査のご紹介

          おはようございます。川瀬知的財産情報サービスで提供しているサービスの一つ、「State of Art Search」(関連技術調査)についてご紹介します。特許と論文を区別しない調査です。 典型的には、開発担当者が特許を1件見つけた。論文を調べてみたらさらに論文も見つかった。では、そこから先どうしようか、といった場面にお応えする調査です。 特許情報だけでは足りない。かといって、どれくらいの量があるかもわからず、多くの論文が出ているとも思えない。悩ましい調査です。 Pari

          サービス紹介④ "State of Art" 技術調査のご紹介

          サービス紹介 ③IPランドスケープ その2:「情報感度」

          前回「IPランドスケープ」が欧米と日本で異なり「英語」が大きな役割を果たしていると記述しました。しかし、本質的には、「英語圏のほうが情報感度が高い」という点が重要ではないかと思われます。 日本の特許調査を見て感じるのは「ユニークさ」を売りにしていても、一定の「方法論」を重視しているように見えます。 これに対して、Parintek Innovationsをはじめ、外資企業でのIP Landscapingでは、「方法論」からは入っていないのが特徴です。 情報加工は、人工知能

          サービス紹介 ③IPランドスケープ その2:「情報感度」