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LSP活動ログ①「教員向け体験会を終えて」

レゴ🄬シリアスプレイ🄬ファシリテータ養成トレーニングから早くも一ヶ月が経った。よく考えれば半年前にレゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドに出会ってから、ずっとLSPのことを考えている気がする。それくらい出会いは新鮮で衝撃的なものであったし、無限の可能性を秘めていると私は確信している。そして今度はそんな体験を提供する側になった。

DSS(Do Something Soon)

トレーニング終了時に言われていたことはやはり「DSS(Do Somthing Soon)」である。要するに「すぐ行動しろ」ということだ。「鉄は熱いうちに打て」と言われるように、感情には賞味期限がある。実際にファシリテータになっても仕事の都合が合わなかったり、資材の準備が整わなかったりで実践の場から遠のいてしまう人も少なくないようだ。幸いにも私の近くにはお世話になっていたLSPファシリテータが何人もおり、すぐに助言をもらうことができた上、スターターキットもオンラインショップで奇跡的に確保できた。そういった点では自分の置かれた環境に感謝しかない。

まずは味方を増やす

もともとLSPファシリテータになったのも自分の学校の生徒たちにレゴ🄬シリアスプレイ🄬の体験を通して、言葉にならない自分の思考や可能性に気付いてほしい、という思いが第一にあった。そのため、最初から生徒向けのワークショップを設計しようとしていたし、そんな話をキャリアの先生にしたりしていた。しかしながら、参加生徒の集めるにせよ、場所や時間を確保するにせよ、学校という特殊な現場においてはまず周りの先生方の理解と後押しが何よりも大事であった。幸いLSPのことを知っている先生は何人かいたものの、本当の魅力について知っていたり、実際に体験したことがある先生はほとんどいなかった。本当にワークショップに参加してほしい生徒は心にモヤモヤが溜まっていたり、何か一歩踏み出せなかったり、そんな子たちかもしれない。そう考えたら、「一度参加してみたら?」、「先生もやったことあるけど面白いよ?」とそっと背中を押してくれる先生が一人でも多くいたほうがいいに決まっている。そんな思いからまずは教員向け体験会を実施することにした。

体験会の実施に向けて

レゴ🄬シリアスプレイ🄬メソッドは、参加者が何かのテーマについて作品をつくり、その作品を介してストーリーを語り、それに対する質疑を通して思考を深堀りしていく。そのため、まとまった時間が必ず必要になる(おそらく学校現場では最大のネックとなる部分)。教員は一年を通して常に忙しいと言われるが、実は3月は比較的落ち着いている。終業式以降、振り返りの会議等はあるものの体験会をやるにはこの時期以外にはなかった。やれるときにやれるだけやるしかない、そう思い計3回の体験会を実施した。

最初は身内から

体験会をやるにあたって5人×3回の計15人を集める必要があった。最初はオープンに募集をかけるつもりだったが、自分がファシリテーションの経験が浅く、時間もほとんどなかったため手当たり次第に仲のいい先生や面白いことに敏感な先生に声をかけていった。ほとんどの先生は「面白そう!全然参加する!」と言ってくれた。そういう先生が多いところもうちの学校の好きなところの一つだ。教育現場に関わらず、まずは自分のファシリテータとしての自信をつけるためにもある程度間違いない環境でやる方がよい。

魅せる工夫

まず第一に先生たちにレゴ🄬シリアスプレイ🄬に好感をもってもらう必要がある。そこで工夫したのが全体告知と資料作成、会場の設営である。あくまで持論だが、ファシリテーションに関しては経験値の差が大きく出るが、告知であったり、資料の作成や会場の設営は見よう見まねでもそれなりのものができる。そこでどれだけ魅せるかが好感度アップに直結すると考えた。

全体告知に使用したフライヤー(Canvaで作成)
実際の会場の写真

告知については、Canvaで作成したフライヤーを使いながらMicrosft Teamsで全教職員に告知を行った。加えて、附属大学と事前に連携を取っていたことから当日管理職の方が数名見学に来てくれることになっていた。そのため、実施要項やPR資料も作成した。この時感じたのはやはり「Canva」の有用性である。Canvaはオンラインで使える無料のグラフィックデザインツールである。教育現場では大流行中のアプリで、私も毎日使い倒しているのだが、そのテンプレートの中にはレゴに関するものも数多く存在する。LSPファシリテータも使わない手はないだろう。

無料のグラフィックデザインツール「Canva」

参照:https://www.canva.com/

会場の設営については、一度だけ参加したことのあるLSPワークショップとトレーニングのことを思い出しながら、余裕のある大きめの部屋を確保し、適切な温度調節や休憩時のBGM、その他スターターキットの箱を並べたり、書籍やダックを数匹並べたりなど、多少演出は工夫した。

体験会を終えて

3日間の体験会を経て大きな学びと手ごたえを感じることができた。

場数を踏む

まず第一に、当り前だがファシリテーションは場数が命であると改めて実感した。3日間やるだけでもだんだんと視野が広がる感覚があり、会場の空気感や参加者の動きなどに少しずつ気を配ることができるようになっていった。もっと言うと、体験会の前の週に先輩ファシリテータ主催の練習会でスキルビルディングの練習をみっちり積んでいたことが成功の最大の要因である。やはり一人でというよりも、複数人での継続した練習会や実践の機会を設け続けることがパフォーマンスの維持に必要不可欠であると感じた。

また別の学びとして、3日間を通して準備と片づけはそんなに簡単ではないと実感した。もちろん、体験会自体は成功で問題はないのだが、3日間一人で準備と片付けをするのはなかなかに大変だった。今回は参加者各日5名でWEBとスターターキットのみを使用しただけだったが、参加者が増えたり、これにILやコネクションキットが加わってソーティングが必要になった場合、、、。ファシリテータとして継続的に活動していくにあたり、この側面は忘れてはならないだろう。

レゴ🄬シリアスプレイ🄬の魅力

AT1「私が考える理想の教育」

今回一番の収穫は、やはり15名の参加者と数名の見学者から非常に多くの好評と応援の言葉をいただいたことである。

「今までなかなか言語化する機会がなかったことも、レゴで作品を作り、それを介して語ることで抽象的なものをより具体的に理解することができた」

「みんなが真剣に話を聞いてくれるので非常に心地よかった」

「 最初は作品が作れるか不安だったが、手をまず動かすことでと意外と作品を作ることができた。認識していなかった知識や思考が形となって現れたことで、自分が実はこんなこと を考えていたのかと驚いた」

「通常の会議のように一部の人間が話すのではなく、全員が 100%フラットに語り、質問し合うところに非常に魅力を感じた」

上記のような感想からも、参加者ならびに見学者にLSPの魅力が少なからず伝わったと考えられる。大人たちが日頃の多忙な業務を忘れてレゴで真剣に語り合う姿は色々と感じるところがあった。個人的に一番嬉しかったのは、何気に参加者が自分の作った作品を嬉しそうに写真に収めていたことかもしれない。

今後の展望

今後の展望としては以下の5つである。

(1)生徒向けキャリア開発ワークショップの開催
(2)部活動におけるチームビルディング
(3)継続的な教員自主研修の開催
(4)総合型入試対策への活用
(5)特色化入試への活用

まずは(1)~(3)を必ず次年度中に実施したい。

まとめ

3日間の教員向け体験会を通して、少しではあるがLSPファシリテータとして自信がついた気がする。また、何よりもファシリテータをやった自分がとても楽しかった。体験会終了後、私の頭の中にはレゴ🄬シリアスプレイ🄬のマスタートレーナーである石原正雄氏のトレーニング時の言葉が思い出された。

「人の変化に立ち会う仕事は意外と少ないが、LSPファシリテータは数時間の中で人の変化に立ち会うことができる。」

実際に参加者の笑顔や驚き、感情や思考の変化を体験会の中で感じれたことがファシリテータを務めた私にとって何よりの報酬だったかもしれない。
新年度はより一層活動の場を広げていきたい。


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