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【日記】心の折れ方を覚えておく。メンタル豆腐民が、自分の心とうまく付き合うには。

 
 自慢じゃないが、かなりメンタルが弱い方だ。すぐに心が折れる。すぐに疲れる。すぐに全部を投げ出してしまいたくなるし、何か失敗するとすぐに「あーもうだめだ終わりだこの世界に私を受け入れてくれる場所なんてないんだみんな私のことなんて嫌いなんでしょあーあーもうだめ最悪だよなーんもやりたくないよ!」と喚き散らしたくなる(いや、実際、喚き散らしている)。そんなわけなので、いっつもいろいろなことに一喜一憂しながら生きているのだ。とほほ。
 疲れたよ。もちろん、巷で話題の「メンタルを強くする方法」は一通り試した。これは結構効くかもと思うものもいくつかあった。が、もちろん根本解決はできなかった。「私は一生メンタルの弱い人間として生きていくしかない」と、いい加減、覚悟を(というか諦め?)決めたところだ。
 さて、そんな私だが、これまでの経験から、1つ学んだ術がある。これはなかなかいいですよ。「心の折れ方を覚えておく」というものだ。そう、自分の心がどういう理由で折れて、折れたときにどういうことが起きて、その後、どうやって回復したかを記録しておき、次に活かすという戦法である。
 なんじゃそりゃと思うかもしれないが、ところがどっこい、それなりに効果的で、というか実践的で、いまのところ、かなり私向きのメンタルハックではないかという気がしている。
 というのも、この方法は、今まで心が折れた回数が多ければ多いほど効果を発揮してくれるからだ。
 
「心の折れ方を覚えておき、次のシーズンに備える」というやり方をひらめいたのは、ほんの最近のことだ。
 私は何しろ、体調をちょっと崩したとか、人に何か言われただけでも「あーもう人生終わりましたーさようなら」となるくらい情緒不安定なので、ここまでくると、なんというか、「心が折れる」こと自体に慣れてきていた。いや、心が折れなくなったわけじゃないんですよ。つらいのはつらいままなんですよ。ただ、「またこの感じか」と、身構える余裕はできてきた、というか。「あ、もうすぐ心折れそうです」みたいなタイミングを読むのが、年齢を重ねるごとにうまくなってきてしまったのである。
 だから、なんていうんでしょうね、「ここまでいったら1週間動けなくなるライン」みたいなのを見極めて、それだけは回避できるようになった、という感じかな。
 
 もう1年くらいは経つだろうか、私は、普段感じたことをつらつらと書きつける通常の日記とは別に、そのときのメンタルのコンディションを入力するための「一行日記」を持っている。といっても一行なので、たいした内容は書いていない。起きた時間、寝た時間。やった仕事の内容。打ち合わせや、友達と会った日のこと、などなど。それから、生理が来たのでいつも以上に情緒不安定だったとか、しんどかったから心療内科に行ったとか、寝不足で頭がうまく回らなかったとか、仕事が立て込んでて疲れていたとか、そういう健康面のメモをつけるようになった。
 そもそも「一行日記」は、仕事の進捗管理のためにはじめたルーティンだったのだが、まさかのちのち、心の安定のために役立ってくれる日が来るとは思わなかった。これ、いいですよ、本当に。
 
 我々メンタル豆腐民にとって、非常に大事なことがある。それは、どう足掻いたところで「心が折れる」ことそのものを回避するのは不可能、ということだ。心は折れるのだ。確実に。絶対。だって弱いんだもん、心が!
 で、だったらあたしらに残された唯一の道は何かというと、「できるだけ軽症ですませる」、これしかないわけだ。ぼっきぼきの複雑骨折にならないようにだけはがんばる。ラインごえしないように踏ん張る。私の場合、本当に落ち込みすぎてしまうと、1週間くらいまったく動けなくなり、ごはんを食べるのすらめんどくさく、さらに、その間ずうっと、「自分はダメだ自分はダメだ自分はダメだ……」という呪詛の言葉が止まなくなるので、それだけは絶対に避けなくてはならない。
 ゆえに、「あ、心折れそう」と思ったらすぐに、過去のデータベース(日記)から参照して、状況を整理し、対策を考える。
 こんな感じだ。


・心がモヤモヤする原因:①Sさんに言われた「〇〇〇〇」という言葉がぐさっと来た。あそこまで言わなくていいのにひどい②忙しい③やることが多すぎて不安
・このままだと:おそらく明日までは引きずる、あるいはこれ以上ストレスが溜まると3日くらい引きずる
・対策:予定が詰まっていると焦ってさらに不安が増すので、週末の買い物の予定キャンセル。簡単な雑務はすぐに終わらせて精神的な余裕を作る。薬を飲んで寝る。



 大事なのは「このままだと」どうなるかを予測し、立ち直れなくなるレベルにまではもっていかないように対策することだ。いやなことを言われたのが一番のダメージポイントだったのなら、きついことを言ってきそうな人になるべく会わないようにするとか、SNSの過激な投稿を見てうっかりダメージをくらわないように、スマホはあんまり見ないようにするとか。

 心が弱い人は、そんな「心の弱い自分」を責めたくなるかもしれないが、でも、いきなり心が弱くなったわけじゃない。「心が弱い人」1年生ではないのだ。「心が弱い人」のベテランなのだ。そこは自信を持っていいはずだ。ずっと心が弱い自分で生きてきたし、そういう自分の心の弱さと付き合い続けてきたはずだ。「しんどいシーズン」を乗り越えてきた、過去のいろんな自分たちが、いまの私の味方をちゃんとしてくれる。彼らの力を借りようじゃないか。

 自分はひとりの孤独な人間なんかではなく、私のうしろには、私を援護する大量の「わたし軍団」——しんどい仕事を乗り越えた私、苦手な人と渡り合えた私、落ち込んでたけどなんとかベッドから這い出た私——が控えていると考えれば。心のゆらぎになんて、そこまで怯える必要ないじゃないかと、ちょっとだけ元気が出てくる——気が、するのだ。

 私は、ひとりじゃない。過去の自分と一致団結して生きる、「わたし」という共同体なのだ。
 
 



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