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【読書メモ】東大・京大生が基礎として学ぶ 世界を変えたすごい数式/冨島 佑允

今回読んだ本は、いつもたくさんの学びを頂いているnoterさん、
池辰彦さんの以下の記事で紹介されていた一冊です。
(池さん、こっそりと自分のフォロワーさんに紹介させてください)

最近、自分の周りで数学の学びなおしをされている方が何人かいらっしゃって、とても刺激を受けています。

さて、本書の概要を引用します。

数学が苦手でも「数式読解力」を持つ人は創造性を発揮できる。
本書で紹介するのは、AIやVR、行動経済学、宇宙計画、投資やアートに至るまで、人類に大変革をもたらす発明を生んだ偉大な数式の物語。
自ずと数式を”読める”ようになるはず!

「東大・京大生が基礎として学ぶ 世界を変えたすごい数式」電子書籍概要欄より引用

本書は9章あって、それぞれの章で1つの簡潔な数式がメインテーマとなっています。
・それぞれ15ページ前後でまとまっている
・章の導入で「どんなことに応用されているか」「誰が考えたか」がわかる
ので、数学が好きでなくともサラっと読めると思います。
自分の興味が沸く章から読めるようにもなっているので、オススメです。


ちなみに、本書に登場する数式は、理解度の違いはあれど一応全て知っているものでしたが、新しい知識も得ることができました。
以下、なるべくネタバレしないように、かわうそ流補足を綴っていきたいと思います。みなさんの数式読解力向上に1つでも役立てれば幸いです。




1:数式で人智を超えていく

AI(人工知能)の仕組みってどうなってるのかな?と思います、よね?
人間の脳をコンピュータ上でモデリングする際の基礎的な技術「ニューラルネットワーク」について、その世界の扉を開いたはじめの1歩目の数式についての章です。いきなり自分の専門分野でした(笑)。
もちろんAIの基礎技術はニューラルネットワークだけではないんですが、2歩目、3歩目と進んでみたくなった方にオススメの動画を置いておきます。


2:数式でわかる人間の損得勘定

比較的新しい学問分野「行動経済学」についての章ですね。
・x(損得の度合い)が正(得)の場合と負(損)の場合で違う関数
・係数λが、得より損に敏感(するとλ>1という条件かな?)
という価値関数で損得勘定の度合いを表しています。
ある意味とても人間臭い数式であると同時に、係数の精度が極限まで高まれば高まるほど人間らしさが失われていく感じがしますね。


3:仮想現実を超リアルにした数式

この章の数式は一見単純ですが、クォータニオン(複素平面)という特殊な世界における式なので、かなり数式読解力が必要です。章の最後にもある通り、実際に自分の手で計算してみることを強くオススメします。
いきなり掛け算だとイメージが沸かない?そもそも複素平面のイメージが沸かない?以下の動画の44:39あたりから見てみましょう(開始位置込みのリンクです)。たった20分でガラリと変わります。そして複素平面は本書の最後の章にも繋がります。


4:お金を創造する数式

最近、「積立NISA」という言葉をよく聞くようになりました。この章を読み終える頃には、「積立NISA」ってなんなの?がわかると思います。
もう1つ重要なのが、この数式によって「うまい儲け話なんかないよ!」が理論的に理解できるという点ですね。


5:数式が築いたモバイル通信があたりまえの暮らし

定期的に「大人になってから使わない知識」として槍玉に挙げられる「三角関数」。しかし、これから先の時代では、三角関数不要論を唱える人も減っていくだろうし、あたりまえの知識として定着していくはずです。
なぜなら、学校で「三角関数」を習うときに、「これがモバイル通信の基本なんだよ」って習うから。そうなっていきますよね。

6:数式で人類は宇宙に飛び出した

運動量保存則、起源はデカルトですか。宇宙を含む万物創造の神学(哲学)を起源に、物理学で体系付けられ、宇宙探索ロケット工学の基盤となっている。壮大ですね。
運動量保存則の視覚化で有名なのが「ニュートンのゆりかご」。ここでは、物理エンジンを使って鉄球を100連結している動画をご紹介します。


7:この数式で自動運転車は安全に走る

この章もAIに関連する章ですね。膨大なデータを基に統計計算を行う「ベイズ統計学」の理論。18世紀に考えられていたものですが、昨今のコンピュータ技術の発達によって、実用化に至っているというお話です。
余談ですが、学生時代はAI自動車作りたい!って思っていました。
時は超就職氷河期、大企業の研究開発求人は例年の10分の1とも言われた時代ですが、某大手自動車メーカーの最終面接まで残ったんです(笑)。
まあ今からでも遅くないか。


8:数式が運んできたクリーンなエネルギー

火力、水力、原子力発電は電磁誘導の原理、太陽光発電は光電効果の原理を利用した発電方法、というのが押さえておくべきポイントでしょうか。
余談の項に記載のある「反物質」。恥ずかしながら知りませんでした。2000年以降に色々と明らかになってきている分野なんですね。


9:数式はアーティストだった


幾何学アートの雄、フラクタル図形。マンデルブロ集合のプログラムソースコードを置いておきますので、GoogleColaboratoryで動かしてみましょう!


最後まで読んで頂き、ありがとうございました!
楽しみながら「数式読解力」を身につけていきましょう!


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