27歳なりに読んだ人に感動を刻む小説書いてく予定が世界救ってた 第6話 ~〇〇要注意~
「命を懸けてって……なら、俺もお前が危ない時は死ぬ気で守る」
私は真っ直ぐ彼女を見つめた。
優華は涙目になり俯くと何やら小声で言った。
「……アンタ....死ん……ら.......あの子は.......なるのよ」
ポタポタと彼女の目から涙が落ちた。
「えっと、何て言ったの?」
「アンタが死んだら怜(れい)はどうなるのよ!!報われないまま父の言う通りじゃない!何にも覚えてないバカが偉そうな事言わないで!!」
彼女は袖で目元を拭うと何でもないから忘れてとぶっきら棒に言い放ち、
立ち上がると廊下に出て早歩きで私から離れていった。ガラガラガラと玄関扉の開く音がしたので外に出たようだ。
「………」
何かを思い出そうと天井の木目を観察した。
私は人と約束したことは責任の大小に関わらず忘れない質(たち)だ。
だが、彼女は――何にも覚えてないバカ――と言った。
過去にその言葉が当てはまる出来事があったのか記憶を辿るが原因は分からなかった。
だが、不思議と何か忘れている――違うな――〈記憶をいじられている〉感覚があった。
ドタドタドタドタドタドタドタドタッ‼
騒がしい足音と共に怜が現れた。
顔にはもうサングラスとマスクは装着されておらず、
駆けて来たわりに顔は至って冷静な様子である。
想像はしていたので優華と顔がほとんど同じでも驚きはしなかった。
――髪型が中性的で優華と違いロングヘアーではないのと、右目元に色っぽいホクロがあるのが違うんだなぁ――
「何かあったのですか、優華様と?」
私はバツが悪いなぁと思い、無意識に頭髪を手でワシャワシャする。
「優華が俺に命を懸けて守ると言ってくれた――だから、俺もお前が危ない時は死ぬ気で守ると言った」
少し間を置いて怜が言う。
「――私が3年前、この存在価値の無い私が貴方を救って死ぬ予定が生き延びて今日に至ります。価値のある優華様や厠が死ぬのは間違ってます」
――私を救った?どういうことなんだか……そもそも自分に価値が無いって言い草が何だかムカつくな――
「命の価値観がズレてるよ……価値観が問われる話は要注意だぞ結婚生活でも価値観のずれで離婚に発展する事も多いんだぞ」
「えっと……私が死ぬのは父の予定調和の内ですので、厠は優華様と生き残る事だけをお考え下さい」
それだけ言うと軽く頭を下げて去っていった。
(いてっ!!)
頭痛と同時に砂嵐の様なごちゃ混ぜの光景が頭の中で映像となって現れて誰かが私に囁いたこんな言葉を思い出す。
「怜(れい)は所詮0(れい)です――無いんです、戸籍も未来も価値すらも」
【by大河】
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