27歳なりに読んだ人に感動を刻む小説書いてく予定が世界救ってた 第7話 ~〇〇では、もう××できないあなたに~
頭痛が収まったが、僕は頭の中で聞こえてきた言葉の意味を考えていた。
屋敷の外では優華を探す怜さんの声がする。
ああ、一体何が起こっているんだろう。
今日のNEWSに始まり、高校生に殴られ、そして今まで音沙汰のなかった優華が現れた。
何かが起こっているのは分かるが、この変化に僕は頭を必死に追いつかせることで精いっぱいになっている。
少し、頭を休ませたいーーー
「かつひろー、おはよ!」
「おはよう、あすか」
「今日はどこに遊びに行こっか」
「そうだな、今日はあすかが行きたがっていた神社に行こうか」
「えっ、いいの?やったー!今から行こ!」
「そんなに楽しみにしてたんだな。じゃあ車に乗ろうか」
ーーザーッ
「やっと着いたね。結構遠かったなー」
「あすかは車に乗ってただけだろ」
「そんなことないよ、かつひろが退屈しないように話してたもん」
「わかったわかった。それでここが来たかった神社?普通の神社にしか見えないけど」
「もう、わかってないなー。歴女だったら一度はここに来ないとだめなんだからね!」
「うーん、僕には全く理解できないな」
「それだから今まで彼女が出来なかったんだよ。もっと女心を知りなさい。あっ、あったよ!これが見に来たかったの!」
「はいはい、あすかだって初めての彼氏だろ。ん?こんな石碑が見たかったのか。なんて書いてあるのか読めないけど」
「これはね、【あめながくつちひさしくして、かみよのかぜのどかにつたはり】って書いてあるんだよ。昔から変わらずに伝えられてる習わしのことなんだって」
「僕にはよくわからないな」
「いいのいいの、私はこれが見られたから大満足だよ!ありがとね、かつひろ。大好きだよ」
「僕も大好きだよ」
「えへへ、本当に幸せー!じゃあ、神社の中ぐるーっと歩こー」
ーーザーッ
「かつひろ、痛いよ・・・」
「なんでだよ!なんでなんだよ!」
「かつひろ、寒くなってきた・・・」
「すぐに助けるからな、待ってろ!!」
「なんでかな、さっきまで幸せだったのに、なんで、なんで・・・、かつひろ、大好きだよ」
「僕も好きだ!だから死ぬな!死ぬなよ!もしもし、救急車をーーー
ガバッ
僕はすごい勢いで起き上がった。
気が付いたら眠っていたようで、どれくらい時間がたったのか分からないが、部屋は暗くなり、自分が布団に寝ていることに気が付いた。
おそらく優華か怜さんが気を遣ってくれたのだろう。
ありがとうと心で呟き、目まぐるしかった一日を終えるように僕は目を閉じた。
あすか、今日だけは許して欲しい。
この世では、もう会うことのできないあなたに会いたい。
by克也
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