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十六歳

高校に入学してから初めての冬

幼馴染が死んだ


病気だった


裕福とは言い難い

同じアパートで育った私と彼


私はなんとか高校へ進学したけれど

彼の家は複雑で足の悪いお母さんを支えるため

彼は中学卒業後に就職した


小学校を卒業するまでは

よく遊んだし、よく話した


中学生になると

制服や髪形や

いろんな制約に縛られて

隔たれて

それまでのように話せなくなった

会えなくなった


バイクに乗るようになっていた彼と

自転車置き場で一度会ったことがある


けどお互いに話そうとはしなかった


それから数か月後

母親から彼が入院していることを知らされた

詳しい病状は聞かされなかった


お見舞いにも行かなかった


中学を卒業してちょうど一年と言う日の朝

亡くなった

と電話が入った


人生100年時代

そんなの嘘だ


彼は十六年しか生きられなかった


あんなに早く逝ってしまうなんて


人はいつかみんな死ぬ


あっという間だ


悩んでる暇なんかない

会いたい人には会いに行き

話したい人には話をしに行く

やりたいことはやる


命は大切だけど

あっけないのだ


その短い時間を大切に有意義に生きたい






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