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がらくた

最近家中のものを、次々と捨てている。大きなゴミ袋2つ分を、週に1度のペースで捨てる。いつか使うかもしれない、いつか必要になるときがくるかもしれない、いつか、いつか。だけどいつかはきっとこなくて、それは本当はがらくたと同じなのだ。

一度も袖を通さないままのワンピース、UFOキャッチャーのぬいぐるみ、止まったままの腕時計、聴くことのないCD、興味を失った美術書、何年も履いていない靴、誰かの忘れていった傘、ほとんど身につけないアクセサリー、雑誌の切り抜きやスクラップ、読み返すことのない手紙やメモ。

イスも机も布団さえ何一つなかったこの部屋に、知らぬ間に、想い出と共に蓄積された私の愛しいがらくたたち。私は大きなゴミ袋目掛けて、ひとつずつ、ゆっくりとそれらを投げ入れていく。

移り気で気まぐれだった。熱中してはすぐ冷めて、欲しい物は手にしたとたんに色褪せた。本当に欲しかったのかさえ思い出せない。それなのにどうしてこんなに何もかも、大事に抱えてたんだろう。これ以上、新しいものが入る隙間も無い程に。もう捨てるものも無くなって、部屋ががらんとする頃には、同じように自分もからっぽになれる気がした。

何一つ持たないこと、に憧れる。身軽で、いつでも、どこにでもいけるような。だけどもしも何かを手に入れるなら、とびきり素敵なものがいい。選択する権利はいつだって自分自身の手の中に。それならやっぱり私は、心から好きなものに囲まれて、生きていたい。

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