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アメリカを肥満大国にした日本の特許輸出第一号

日本のスーパーでも、原材料でしょっちゅう見かける、「果糖ブドウ糖液糖
」、別名ハイフルクトースコーンシロップ(HFCS)は、アメリカでは悪名高い添加物です。というのは、HFCSがアメリカを肥満大国にしたと言われているからです。

日本でも果糖ブドウ糖液糖という添加物が高頻度で使われるのは、砂糖より甘く、安く、液体なので加工しやすいからです。清涼飲料水、ドレッシング、焼肉のタレ、レトルト・インスタント・冷凍食品、お菓子などに広く使われています。

実はこの、砂糖より強い甘みで食べる(飲む)人の味覚を狂わせるHFCSは、日本人の発明だったのです。

第二次世界大戦に敗れた日本は、戦後大変な食糧難に見舞われ、政府はサツマイモやジャガイモの生産を奨励しました。しかし、食糧難が一段落すると倉庫が余ったイモ類でいっぱいになったため、政府は余った芋類でデンプンを作ることを奨励しました。そして今度は、デンプンが政府倉庫に山積み状態になったのです。

その一方で、経済的に貧しく、外貨の乏しい当時の日本では、砂糖は高級品でした。そこで政府はデンプンを砂糖に変える研究を奨励したのです。

そしてついに、通産省工業技術院発酵研究所(現、産業技術総合研究所)が、砂糖の代替品となる異性化糖液(果糖ブドウ糖液糖)を大量に作る技術を、世界に先駆けて開発したのです。

液糖に慣れていなかった日本での評価は低かったのですが、アメリカの反応は違いました。当時「キューバ危機」によって砂糖の国際価格が高騰し、代替甘味料を求めていたからです。

そして、日本では見向きもされなかった果糖ブドウ糖液糖の製造法は、1966年に日本の特許輸出第1号としてアメリカに輸出されました。この技術で生み出されたHFCSが、アメリカの食料事情を一変させたのです。

それまで特別なお楽しみだったコーラやアイスクリームの値段が下がり、手軽に誰でも買える安い食品になったのですから、喜んだ人々は、食べる(飲む)頻度を増やしていったのです。

1970年代のアメリカでの一人当たりのHFCS消費量は0.2kgでしたが、その後スイーツや清涼飲料水だけではなく、冷凍ピザ、パスタソース、パン、シリアル、ベビーフードにまで使われるようになり、2000年代には一人当たりの消費量は29.8kgと、実に100倍以上に伸びたのです。

それと同時に増えたのが、アメリカ人の体重と、肥満関連の癌(大腸、肝臓、膵臓、腎臓)を含む慢性病です。

HFCSに特に毒性があるわけではないのです。HFCSが出現するまでは、それほど求められなかった「甘い味」が、HFCSのおかげで、味付けになくてはならないものになったことが問題なのです。

「甘味中毒」は、日本人にとっても他人事ではありません。
安くてHFCSは、自販機の飲み物、スーパーで売られる調味料、栄養機能食品、特定保健用食品(トクホ)にまで幅広く使われています。

それだけではありません。減糖やHFCS不使用と表示があっても別名前の「砂糖」が使われている可能性があります。アメリカでは、262種類の砂糖が存在します(リストはこちら)。

知らないうちに甘味中毒になって、市販の調味料や加工品がなくてはならない「我が家の味」となっていないでしょうか?

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