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レンズの話をしよう ②~【もうひとつの太陽】Jupiter-8 50mm F2~


 とりあえずバルナックライカやContaxのボディを購入して、レンズまでは財布が許さない。
 さてどうしようか、といった状況で殆どの人が取る選択肢の一つが、
「とりあえずロシア製のレンズを安く買っておこう」
でなかろうかと思う。

 わかる、わかるぞその気持ち。

 3~4万で良いボディ買ってもレンズまでは手が届かないこともあるもんな。
 私は先祖代々生粋のプロレタリアートだからよくわかるぞ。

 そういった時、恐らく最初に候補に上がるのがソ連製のJupiter-8なんじゃないかと思う。
 ソ連が戦前の5cmゾナーのコピーとして作ったレンズであり、恐らく高くて1万円ぐらいで手に入る、「プアマンズ・ゾナー」と言ったところか。

 しかしここで一つ言いたい。

 Jupiter-8を無礼なめるなよ

 Jupiterシリーズは確かにドイツのゾナーのコピーから始まっているが硝材がソ連製になるのに伴い、設計が少し変更されたりしている。
 生意気にコーティング(ソ連のコーティングは結構よい)が施されたりもされているため、個体差はまああるんだが決して馬鹿にされるようなレンズではない。

 ここで同じボディ、同じ条件(絞り開放)で同じスペックのレンズで撮影したものを見て頂きたい。


 さて、どちらがJupiter-8の物かわかるだろうか。


 正解は一枚目。
 そして二枚目はNikon Nikkor-HC 5cmF2だ。

 ジャパニーズ・ゾナーとして高い評価のレンズで、状態も変な傷一つもない物だが、少なくとも開放に
近い絞りでは手持ちの数本のJupiter-8の方が写りが良いと思う。
(ただし絞り込むとグっとコントラストが上がり、特に緑が鮮やかに写るため一概にNikkorが劣る訳ではない。目測接写もあるしね)

 そう、手持ちの数本。
 数本あるのだこれ。

 簡単な話で、ソ連カメラを調達すると大体セットでこのレンズが付いてくるのでカメラの数だけやってくる労働者に優しいレンズなのである。


 さて肝心の写り。



 ほら、ちゃんと写るんだこれが。

 芯がちゃんと残りつつ柔らかいボケが出る。
 絞った時の写りも良いが、開放で撮った時の筆で塗ったようなボケは好みはあると思うが個人的には非常に好き。

 これが下手するとebayで5000円で買えるカメラに付いてくるので侮れない。

 同じロシアのフィルム・Astrum125と組み合わせると何故かわからんが滅茶苦茶よく写るぞ。
 モノクロもよいぞ。




 そこいらのロシアレンズにも五分の魂、というやつだ。





kaz





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