需要を先取りせよ!意外に知らないノスタルジーをテーマとする作品の作り方

こんちわ。風倉です

あなたはノスタルジーをテーマとした作品を書く時、何をコツにすればいいか、言語化できてますか?

今回はその話をします。役に立つのでぜひ読んでって下さい

で、なんで唐突にノスタルジーの話をしたかというと、それは簡単

今後のネット小説で、ノスタルジーは狙い目……!!


と予測できるからです。
これ僕は数年前からいい続けてます。これはガチです

しかも一過性のブームではなく、年単位のスパンで需要が高まるでしょう
ランキング制覇とかまではしないと思うけど、穴場としてピンで刺さります

正直、今書いても割と刺さると思ってますが


しかもはっきりいって、こういう感情を刺激する話を書ける作家は。
そこらのテンプレ作家とは、かなり違った目でみられます

「本格的な話を書ける実力ある作家」として一目置かれるのは間違いないでしょう


そういう意味でも、あなたの作品がいわゆるテンプレなろう系でも、コメディでも、サブエピソードとして、こういう話を書けるようになっておくのは、かなりオススメです

1話でも書ければ「この人は、普段チャラい話かいてても、その気になれば本格的な大人向けの話も書ける人なんだ……」という感触を与えれることまちがいなしです。それぐらい良質なノスタルジーというものはちょっと格が高い話です

さて、そういうのもありオススメなんですが。
まずは、これが「来る」という理由ですね。これを説明します
といっても、理由は簡単

ラノベ系の読者の年齢層が
あがっているからです

ラノベが登場してから、もう2,30年経ってますからね。継続してる人はもう、いい大人です

誰もが気づいてると思いますが、おっさん主人公の話、10年前、20年前とくらべてやたら増えてますよね?

しかも、冴えない見た目のおっさんが無双……的な話が。あるいは、転生モノであれば、転生前がおっさんっていうのも多いですよね。
あれは、1つは読み手におっさんが多いからです。まあ他にも理由はありますけどね。おっさんは何かと便利なんで。

このおっさんをアゲアゲの流れは今後も加速します。

つまり、数十年たてば爺さん主人公のサクセスストーリーとかも余裕で増えてくるでしょうし、なんならそもそも水戸黄門が、爺さん向けのなろう小説的なところあります(映像作品だけど)

すると、ここででてくると予測されるのが……

そう「ノスタルジー(懐かしさ)」という感情を刺激する系の作品です!


読み手の対象が年取ってきてるからね
ティーンズ相手には響かない話も、響くようになってきますし、そういう話が読みたくなってくるお年頃でもあります

いいですよねえ。ノスタルジー

しかし、書くのが難しいのもノスタルジー


結構、創作初心者には、この感情を刺激する作品は書くの難しいです。需要はあるんですけどね。
でも、だからこそ「狙い目」です。
さっきいったように、作家の実力も高く見積もってもらえるしね

というわけで、こっからはノスタルジー作品をうまく書く「コツ」を語ります


まず、先にいっておくのは、ノスタルジーというと。
田舎の風景だとか、あるいは昭和だとか、そういうものを浮かべるかもしれないけど。

それはノスタルジーのコアではないです

ノスタルジーの本質は「舞台」や「時代」ではありません
別に都会でも異世界でも描けます、SF世界や未来世界だって描けます
懐かしさの本質はそこではありません

では本質は何か?

それは「切なさ」という感情です


「切ない話」という大枠ジャンルの中に「ノスタルジーな話」という少枠ジャンルがある、こういう理解をしてください

切なさを求めるときに読むものの中に、ノスタルジーな話がある、という理解でもいいです。ターゲットは、切ない話を読みたい人です。

そして、舞台よりは人物にフォーカスしてください。その登場人物が、過去に対して愛しさを含んだ、切なさを抱く話があればよいのです

では次に。
「切なさ」とはどんな時に生まれる感情か、それもまた言語化できるでしょうか?

切ない話がテーマの時は「死」や「離別」がよく使われますが、ではそれをさらに大枠でくくると共通点は何になるか?

これもサクッと答えをいうと。

「切なさ」の正体とは
「二度と手に入らない大切なものの喪失」です


この「もう取り返せないもの」というのが切ない感情を湧き起こします
「死」がよく扱われるのはそのためですねー。
とりかえせないもの代表かつお手軽なものなので

※ただ風倉は、切なさや悲しい話を描けというテーマのときに、とりあえず「死」を絡ませるのがあまりにも安易だと思ってるタイプなので(効果自体は認めます)、それもあって今回の記事をかいてます。手札を増やせ

青春もので「卒業」が扱われるのもそこです。あれは、学友や先生と「喪失」を示唆するから切ないのです。

ここがわかると、強いノスタルジーが何について湧くかというのもわかりますねー。
そう「取り返せない過去」です。昔の思い出。
だから、切ないんですよ。

過去は戻れない。過ぎ去った時は還らない。思い出は取り返せない。だからこそ切なく、価値がある。死と並び、時間は取り戻せないものの代表格です。ノスタルジーはそこに生まれる。

ここは強くいいますが、ノスタルジーを描くなら、再び手に入れさせてはいけません。それをしたらハッピーさは増すけど、切なさは消えてしまう。思い出描写は特にこれ重要です

楽しかったあの頃。例えば、子供のその頃を思い出す話で切なくなった話を書いたとしたら、それを、大人になったあとに、今再び完全に手に入れてはダメです。
そんなことをしたら切なさは台無しです。ジャンルが変わってしまいます。

少しだけ取り戻す。あるいは、取り戻せないが、想いを馳せる。
そういうのはとてもいいですけどね。

※物語が終わる最後の最後だけ、手に入れるのは例外的にアリ
  勢いでごまかす。その後物語を続けるのはナシ

さらに助言をいうと、例えハッピーエンドの話だとしても、もう一捻りいれると良いです。

ノスタルジーの再現において、楽しい思い出も悪くはないけど、でも苦悩や辛さにフォーカスしたほうがより味がでます。
これ覚えとくととてもいいですね。


理論だけでもなんなんで。例をだすとですよ



親元を離れて上京し、一人なにかに挑戦する若者が、しばらくたち、親には元気だという手紙を書いた……

そんな思い出話を描いた話があるとしますよ

「母へ。そちらは元気ですか。こちらは元気です。色んなことに挑戦していて、こんなたくさんの(中略)いい経験や、こんな楽しいこと(中略)があって、とても上手く行っています。ではまた」

こんな手紙を送ったとします

そのままここで、楽しい思い出にフォーカスしただけの話を書いたら、それは悪くはないけど、ごく普通の思い出話ですね

これ主人公視点、上京したあの頃は楽しかったなーで終わる話です
ノスタルジーポイントは、なくはないけど、低いですよね。切なさがない。読者が読んでも、ふーん……で終わっちゃう可能性が高い。


それではちょっとつまらないですよね?

なので、ここで一捻り


ここに「裏ではとても苦労してたが、それは一切かかずに、楽しくやってるよとだけを手紙に書いて、親に送ったという思い出話」だとしたら、どうか?

そういう裏の思い出ごと振り返る話だったらどうか?

一気に切なさ的な、なにか強いノスタルジーが沸き起こらないですか?

「辛いことも実はたくさんあったが、それは手紙にあえて書かなかった」

つまり、強がりですね。

この設定が一つ加わるだけで。

一人何も持たぬ身の苦労、若さゆえの強がり、あるいは心配させたくないとそれを隠す親への思いやり、あるいは見栄、それを「過去の話」として、未来のその青年が振り返るという視点

そういうものが、一気に読者にも伝わらないですか?
つまり、共感が高まります。

キャラ造形も、一気に深まります。
単なるリア充から、強がりと弱さを併せ持つ深みのあるキャラになります。

「そういえばあの頃は楽しかったな……」と振り返らせるより。
「そういえばあの頃は辛かったな……」と振り返らせたほうが。

主人公が今成功してればしているほど、切なさが増します。
それは「その見栄っ張り、強がりは、今はもう手に入らないもの」だからです

その記憶を、思い出を、懐かしさと切なさとともに噛みしめる。

これが、ノスタルジー描写の一例です。

※逆にいうと、主人公が今辛いなら、楽しい過去を引っ張ってくるのが正解となりますね。喪失してるものを引き合いにだす


今の一例は、都会っ子だと表現できないかと言われたら関係ありません。異世界が舞台でもできるでしょう。近未来やSF世界でもできるでしょう。

それは舞台ではなく、人が人生や成長の過程で経験するであろうことにフォーカスしてるからです。フォーカスすべきは、経験であり、その当時の想いです。

若い頃は誰だって苦悩し、それぞれの辛さがあり、見栄をはるもんです。若い頃、全員がその当時を楽しんだとは限らない。でも、辛さの中に見栄をはった過去は、大概の人があるでしょう

そういうところを狙って表現できると、広く刺せますね

ちなみにですけど。人の記憶は
「視覚よりも、聴覚・嗅覚のほうが記憶に残る」ということを知っておくといいです。視覚は目を閉じれば入りませんが、音と匂いは貫通しますからね。ガード不能攻撃です。

なので、ノスタルジーを刺激するための描写も音・声・匂い・香り、さらには味、そういうものの描写を強めに入れると、より説得力が増し、読者の共感度合いも高まります。

※小話ですが、実際に、リアル世界でもノスタルジーと音と匂いは超相性いいです。リアルで昔の記憶を呼び起こし懐かしさにひたりたかったら、音と匂いにこだわってみてください

以上です

ノスタルジーは、経験にフォーカスする以上、書くのにリアル人生経験か、あるいは取材力が必要となるので。若い人やアマチュアの間で流行る題材ではないです。なので誰でも書ける(書きたくなる)ともいいがたく、よってランキング支配はしないでしょう
切なさというテーマも、万人が書けるテーマでもありません。筆力をそれなりに要求するので。

しかし、切なさというテーマ自体は「超強い需要」が時代を超えて常に存在し。その中でも、ノスタルジーというカテゴリは、需要は加速していくといえます。そもそも今ライバルもあまりいないし。狙い目です。

というわけでノスタルジー攻略。やってみるなら
今回の
・ノスタルジーは舞台や時代を選ばない。登場人物の経験に起因する
・ノスタルジーの本質は、切なさであり、その中の1カテゴリである
・切なさとは「二度と手に入らない大切なものの喪失」である
・思い出を引き合いにだすなら、苦悩や辛さを引き合いにだす


ここらへん、意識してみてください

ノスタルジー……
感動話と相性がよく、良い話が作れれば、一気に作家を実力派とみなしてくれる可能性が高いジャンルです。

サブストーリーとしてでも、書けると「強い」ですよ
ぜひ一度手をだしてみてください

ではでは


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