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今日も寝ている間に筋肉は破壊されている

カタボリック」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。

化学用語で「異化」を指すこの言葉は、トレーニング用語の一種で「筋肉のたんぱく質を、主成分であるアミノ酸に分解してしまうこと」を表します。

カタボリックを今回取り上げた理由は、この筋肉の分解は毎日どんな人の体でも起きている、非常に身近な現象にもかかわらず、この現象が起きていることを意識している人はそれほど多くないためです。


筋肉の分解は空腹時に起こる

では、どんな時にカタボリックは起こるのでしょうか。
いくつか理由があるものの、そのうち最も模範的な理由は空腹です。
もう少し詳細にいうと、「飢餓状態による血中アミノ酸量の低下」になります。

アミノ酸は内臓の機能維持や、身体を動かすエネルギーとして生命活動の維持に関わるエネルギー源であるため、空腹を感じる飢餓状態(=生物としての生命活動の危機)に晒された際、筋肉の一部を素早く分解して生き延びるための即席エネルギーとして利用しよう…というのが身体の意図なのです。

つまり、私たちが空腹を感じている時、筋肉は毎秒分解されている…ということになります。なんだか怖いですよね。

筋肉は食事で再合成される

もちろん、筋肉を分解して減らしっぱなしにする、なんてことはありません。食事でアミノ酸が補給されさえすれば、再び身体中にアミノ酸が行き渡り、筋肉としてアミノ酸を再合成することができるのです。

そのため、毎食たんぱく質(=アミノ酸)を摂取して、分解された筋肉を再合成することが大切です。
一方、たんぱく質は一度にたくさん食べても体に吸収できる量は限られているため、一食につき大体20gの摂取が適量といわれています。

一番重要な「朝食」

では、1日の中で最も空腹になる時間…つまり、絶食期間が長いのはいつでしょうか。
それは「夕食後、眠っている間の時間」となります。

図の引用「日経グッデイ」【https://gooday.nikkei.co.jp/atcl/report/15/071300026/111000363/?P=3 】より

一日のうちで最も長い絶食期間=身体が最も筋肉を多く分解する時間でもあり、その分、次の栄養補給タイムが筋肉を減らさないためにとって最も重要なものとなるのです。

…もう何が言いたいか、わかりましたか?

分解された筋肉を取り戻すために最も重要な食事は、「朝食」である、ということです。ブレックファスト、という言葉自体「絶食を打ち破る」という語源がありますからね。

忙しくて、とか食欲がなくて、とかで朝食を取れない人がいるのも分かります。
分かります…が、そんなことを続けていれば、ただでさえ年を取ると起こる筋肉の減少を加速させ、老いを引き寄せることにほかなりません。
体を支える筋肉が減れば、歩くたびに膝が痛み、座っているのも腰や肩が痛くて辛くなってしまいます。
この先の長い人生、楽しいことをしたくても「体が痛くて動けない…」と諦めなければいけないのはちょっと寂しいですよね。

筋肉を増加させる筋トレは難しくても、せめて筋肉を減らさないために、毎日の食事に少しだけタンパク質をプラスしてみてください。

おわりに

朝食は体内時計を目覚めさせる役割や、午前中動く分のエネルギー補給としても重要であると言われていますが、筋肉にとっても重要であるとご理解いただけたでしょうか。
朝食のメニューとして個人的にお勧めしたいのは卵かけご飯です。
炭水化物とたんぱく質が同時に摂取できるうえ、卵のたんぱく質がご飯をコーティングするため、血糖値の急上昇を防ぐことができるからです(栄養は十分取りつつ、太りづらいということです)。
また高齢の方にとっても飲み込みやすいため誤嚥を防ぎやすい、ということも報告されています。
あまり難しく考えなくても大丈夫なので、まずは普段の食事で一品でもたんぱく質を含む食材を増やしてみてくださいね!


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