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勝手に過ごして生きてってくれたら嬉しい親心

土日が明けて月曜になった。

我が家ではここ2,3週間くらい保育園を自主休園しているので、休日との境目がなく、なんとなくダラダラした空気で平日がスタートした。

なぜ保育園を自主休園できるのかというと、夫の仕事が激減したから、というのが大きい。

夫は飲食店の内装作業など諸々を、呼ばれて行って手伝うというフリーランス的なスタイルで外から金銭を得てきていた。

店舗やオフィスのオリジナル家具のオーダーも受けているが、もともとその数はそんなに多くはない。

それらの仕事がめっきりなくなったので子供たちを感染予防のために自主休園させて、日中の保育はまるごと自分が対応する、と宣言した。

生活リズムを崩さないこと、子供たちにレクリエーションを提供することを約束して自主休園の日々が始まった。

河原や公園に連れて行ったり、家の中で段ボールを使った大きな工作をしたりと夫はよく頑張ってくれていて、子供たちも夫と楽しく過ごしていた。

しかしもう2,3週間が経過して、さすがにだんだんとダレてきていた。

夫主導の大規模な工作ワークショップからなんとなく子供たちの自主制作がメインになってきていた。

わかる、わかるよ。

続かないよね、疲れるよね。

慣れとダレが出てくるのはわかっていたので、私の方も最初の頃のように

「予防のために自己判断で休園させるんだから、保育園で受けられたはずの栄養バランスの良い給食や外遊び、学びのある取り組みを奪うことになってはいけない」

という圧をかけるのも悪いなと思うようになった。

頑張りも知っているし、何より日中の私は子供を任せて自分の仕事しかしていないから。

とはいえ、夫の指導もあって、子供たちの工作の腕やクオリティもすごく上がっているので、好きにさせていても子供たちは満足そうだった。

そしてこの月曜日。

遅い朝ごはんを終えて私は仕事部屋にこもった。

夫の作業部屋では何かを作っているようで、子供たちがそれを眺めたり手伝ったりしている様子が漏れ聞こえてきていた。

昼をだいぶ過ぎた頃、珍しく夫が邪魔しにきた。

『休園なんてさせたら、絶対子供が何度も邪魔しにきて仕事にならないだろう』という予想に反して、この自主休園期間中、子供たちは私の仕事部屋には入ってきていない。

夫が子供たちにきちんと説明したのと、退屈して私のところに来てしまわないよう奮闘している成果だ。

そこに、今日は夫が「ねえ、仕事中ごめん」と声をかけてきた。

ニコニコしている。

「あのね、子供たちがさ、すごく可愛いから。」

なんだなんだと夫に伴って見に行くと、リビングの柱のタブレット置き場(夫が作った)に私のタブレットを設置して、動画を見ている子供たちの姿があった。

子供たちの前にはそれぞれお椀に入ったフルーツグラノーラとスプーン。

2人でグラノーラを食べながら子供向けYouTubeを集中して見ていて、覗きに来た私たちを一瞥すると、またグラノーラとYouTubeに戻っていった。

「これ、全部子供たちが自分でやったみたい。」

と夫がニコニコしていた。

おなかが空いた、お父さんは何か作っている、お母さんの仕事の邪魔はしてはいけない。

夫が久しぶりに何か作っている様子を手伝ったり眺めるのにも飽きた息子が、娘を誘ってリビングに行き、椅子に登ってグラノーラと食器を取り、スプーンを出してきて2人分の食事と娯楽を用意したらしい。

育っている…!

状況をみて、自分たちにできる範囲で要望を叶えるべく自主的に判断、行動している。

5歳ってもうそんなことができるようになっているのか、と感動した。

さらに2歳の妹を置き去りにせず、妹の分まで準備してあげていることにも心が震えた。

(「いや子供に何をさせとんねん、お前が昼飯準備したれや」と保育担当の夫に若干の憤りは感じたけれど、ここ数週間本当に頑張ってくれていたし、久々に何かを作り始めてノッてきてしまったんだろうな…と責める気にはならなかった。)

私がいちばん喜ばしく思ったのは、息子が『親の許可をとらなかった』という部分だった。

「ねえお父さん、動画みてもいい?」

「お母さん、お腹がすいたからグラノーラ食べてもいい?」

そんな風に、自分の行動に親からの承認を求めない姿がすごく嬉しかった。

お腹が空いたから、自分にできる範囲でご飯っぽいものを探して食べる。

テレビの代わりにYouTubeをつける。

この家に暮らしている小さい人として、ふつうに生活している。

私が幼い頃、弟はいつも食事中に「トイレに行ってきてもいい?」と母に確認していた。

「あかんって言われたら漏れるやろ」

と父に笑われていたけれど、お母さんに確認しないで勝手なことをすると怒られてしまうから、弟の質問は私たちには違和感がなかった。

何かをするときはお母さんに「してもいい?」と確認しないといけない。

勝手に何かしたのがバレると、すごく怒られる。

さすがに普段のトイレまではいちいち確認しないけど、食事中に許可なく母の目の前で椅子から立つのはこわい。

小学生になって母が働き始めても弟は家のスナックパンを食べていいか、仕事中の母に電話して確認していた。

「あんたらはほんま、仕事中にしょーもない電話してくるな〜」と母に言われたけれど、勝手にすると怒られてきたから予防策をとっていたに過ぎない。

「一人暮らしはだめってお母さんが言った!」と姉は自宅から通える大学に進学した。

(私はもう母に怒られることに慣れ過ぎていたし、親の言う通りにできない『我儘な子』だったので、あらゆる理由を使って親を説得して納得してもらって早々に家を出た。)

自分の要求を叶えることに対して、親の許可が必要な子になってほしくない、どんどん勝手にやってほしいと思って一緒に過ごしてきた。

親個人の狭い経験や判断で、子供の可能性や親の知らない世界との出会いを潰したくない。

危険なことと人に迷惑なことをしてしまわないように、その2点については真剣に伝えていく。

ある程度責任がとれるようになるまで、やらかして失敗したときの尻拭いはする気でいる。

子供の邪魔はしたくない。

親の気持ちなんて考えなくていい。

自分が「こうしたい」と思ったら、「やっていい?」なんて聞かずにとりあえずやってしまえばいい。

その気持ちが伝わっていたことを、なんとなく感じられた出来事だった。


夫が自分の作業に夢中で子供たちの昼飯を準備せず、腹減った子供が勝手にグラノーラ出してきて食べながら動画を見てた…というのは、親としてはあまり褒められた事態ではないなとは思う。

でも、2人で並んでお椀を持って座っている姿がとても可愛くて。

息子が妹の分までちゃんと準備していたことや、2人で相談しながらお皿とスプーンを準備して、タブレットを取ってきて何を見るか決めた流れなどを想像すると、

「いい感じで好きに暮らしてるなぁ…育ったなぁ…」

と感動せざるをえない。

この調子で、どんどん勝手に生きて行ってほしい。



ちなみに夫はこんなものを作っていた。

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こういうテーブルだけど、天板を外して

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足を開くと長物を置いた作業ができたりする。

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イイネ!


自主休園中の保育を任せられるくらい夫を信頼できるようになるまでの話はブログなどに書いています。


子供との関わりとかもこんな感じで試行錯誤です。


どんな状況でもそれなりに小さいことにいちいち感動しつつ、我が家らしく過ごしていきたいですね。

読んでくださってありがとうございます!