代理店とインハウスを徹底比較、企業にとって望ましいマーケティング施策の進め方

アメリカでは主流となっている広告プロモーションのインハウス運用。

最近よくインハウス化をするためのノウハウをコンサルティングして欲しいなどの相談が増えつつあります。 特に化粧品メーカーやEC事業会社でのインハウス化傾向は強くなりつつあり、今後日本でもインハウス化を目指す企業は増えていくことが予測されます。

そのような状況下で、インハウス化と広告代理店への外注、どちらが良いのかという議論も増えてきていることは事実です。そこで今回、インハウス運用と広告代理店への外注を徹底比較し、どのようにマーケティングを行っていくことが企業にとってベストなのか?ということを明らかにしていきたいと思います。

インハウス運用とは

以前何かの記事少し触れましたが、インハウス運用とは広告プロモーションを実施する上で必要となる広告枠のバイイングやレポーティング、クリエイティブなどを一貫して広告代理店へ外注する行為とは異なり、全てあるいは大半を自社で行う行為のことを指します。

また今まで広告代理店へ外注していた企業がインハウス運用に切り替える行為を僕達の業界では「インハウス化」と呼んでいます。

8つの視点からインハウス運用と代理店への外注におけるメリットデメリットを比較

今回コストメリット面や人材面など8つの角度よりインハウスと広告代理店、どちらでマーケティング施策を行う方がオススメなのか推奨度で示しました。

加えて、どういったメリットデメリットがあるのかを以下にまとめています。

コストメリット面

仮に代理店手数料が20%前後の場合、広告投下額が増えれば増えるほど支払うコストは膨らみます。つまりは社内に運用人員を確保することの方が支払う代理店手数料よりも安いことがあります。
つまり自社の広告予算を把握した上で代理店手数料とプロモーションに係る固定費を天秤にかけ、相対的に判断することが望ましいです。 しかしインハウスの場合、コストとして発生するのはあくまでも上記のような固定費だけとは限らないためシステムや他諸経費が発生することも考慮しておきましょう。

自社データ連携面

自社が保有するファーストパーティデータの重要性を経営陣や企業担当者がしっかりと理解した上で、積極的にデータ連携や統合、活用まで行うことが出来るのであればインハウス運用を推奨します。
但し、複雑化するサードパーティデータなどの外部データをどのように上手く取扱い、接続していくのかという部分においては単なる整理力だけではなく継続的にデータのアップデートや除外が必要となるため、初期設定時から多くのリソース確保が必要となります。
しかし最近ではそういったことも簡単に導入設計出来るツールなどもあるのでそれ次第とも言えます。

メディアバイイング面

最近では広告主が直接広告枠の買い付けを行うことの出来る媒体も増えてきたことで、バイイングを行うという行為はさほど難しくなくなってきているのではないかと感じています。
但し広告予算が大きくブランディングや認知施策まで含む包括的なマーケティングを積極的に行っているような企業であれば、一部代理店を通さなければ広告掲載することの出来ない媒体もあるので、企業の広告予算や事業方針によって判断をした方が良いと感じます。
交通広告やCM出稿においては、WEB広告よりも歴史が長いため、付き合いというものを大切にする媒体社が多いことより、まだまだ広告主側から直接掲載申し込みをするという行為は難しいかも知れません。

契約面

通常、私たち代理店側では新規で媒体出稿を行う際に個人情報の取り扱いに関する覚書や代理店契約、お申込書など必要に応じていくつかの契約や書面手続きを行っています。
広告代理業を専門の生業としているため、これらの契約において比較的にスムーズに進めることが出来、急な広告出稿においても事業部間連携をスムーズにし対応することが可能です。
しかし(企業にもよりますが)広告主で直接となると上司への決裁やコミュニケーションロスによりコストが発生するなど本来の目的である広告掲載までに時間を要するという点はインハウスでのデメリットと捉えています。

施策スピード面

企業が今ある代理店を別の代理店に変更する際の理由の一つとして「対応スピードが遅い」という理由があります。多くの代理店が複数の顧客を持ち、大体一人の営業マンは平均で数十社のお客様とお付き合いをさせて頂いています。
そういった部分でインハウス化するということは代理店からの返答や反応を待つというロスが発生しなくなるため、自社データを活用したマーケティング施策を自由且つスピード感を以て、進めることが出来る点は大きな利点となり得ることが多いと感じます。

マーケティングノウハウ面

代理店に外注をしている企業は社内にノウハウが溜まりづらいというデメリットがあります。しかしそれがインハウスの場合、インプットとアウトプットを繰り返し行わなければ事業自体を前に進めることが困難となります。
上記にも記載をさせて頂いていますが、自社で管理するビッグデータやCMSをどのように連携させれば良いのか、どういった広告表記が薬機法面でグレーなのか、運用型広告であればアカウント構成からレポーティング作成まで分析方法や考え方などを社内に蓄積し、社内のメンバーに対してドキュメント化したりワークフロー化することが可能です。

メディア情報面

広告代理店がGoogleやYahoo!、他媒体社とパートナー契約を結んでいる大きな理由の1つとして媒体アップデート情報を定期的に仕入れる、各市場で成功している事例の共有を受けて自社のお客様に活かせる施策がないかを考える材料にする、どこよりも早く新商品のリリース情報を受け取るという目的があります。
これらの情報を仕入れることが出来るのは単に契約を結んでいるからではなく、売上として各媒体社に貢献をしているからとなります。
従ってある特定の媒体で月間最低でも1,000万円以上の予算を活用していなければ、これらのメディア情報を受け取れる機会が少ないという点では代理店にお願いをした方が良いかも知れません。
逆に単なる数値報告だけでこういった情報を与えてくれない代理店がいるとするのであれば、おそらく他の代理店へ変更することも検討した方が良いでしょう。

人材面

代理店においてはオンライン・オフライン領域共にプロフェッショナルが存在し、仮に誰かが退職となった場合でも余程の専門職でない限りスキルの均一化を図っているため、引き継ぎを行えばマーケティング施策に大きな影響が出ることは考えづらいです。
しかしインハウスともなると人材も限られてくるので否応なしに属人的になりがちとなり、当の本人が退職するともなると次の採用や引き継ぎに時間を要し、ロスが発生することが考えられることより社内の体制に大きく左右されることが考えられます。

まとめ

いかがでしたでしょうか?

結論からお話すると個人的には全てのマーケティング施策をインハウス化してしまう、あるいは全てを代理店へ外注するというよりもデータ連携に関しては自社で、広告枠の買い付けに関しては代理店へという風に上手く自社のリソースやコストバランスを鑑みながら調整を行うということを推奨しています。

アウトソーシングしていた内容をインハウス化することで見えなかったものが見えるようになる点は非常に大きいですが、その反面インハウス担当者がマーケティング施策を加速させるための環境を準備してあげることや決裁スピードを上げてあげることが出来なければ、事業は早い段階でシュリンクする可能性があるということは忘れないでおきましょう。

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大手企業、ベンチャー役員、事業部長、漁師などを経て、現在7社目の少し変わった経歴を持つ33歳のジョブホッパーです。 実体験から学んだことだけをもとに発信しています。