ちょっぴり怖い話(ステーキ弁当)

これは、飲食店を経営している知人からきいた話です。

そのお店は、ステーキやハンバーグを提供するレストランです。
ランチタイムの11時から、ディナータイムの22時までが営業時間。

オーナーシェフの知人と、日によってかわるアルバイトスタッフで切り盛りしています。

店内での飲食以外にも、お客さんの要望により、持ち帰りのお弁当にして提供もしています。

ある夜、もうすぐラストオーダーの21時30分になろうかという頃に、電話がかかってきました。
店内にはもうお客さんはいなかったため、そろそろ片付け始めようかと思っていたところでした。

アルバイトスタッフが電話に対応しました。
ステーキ弁当を2つ作ってほしいとのことだったそうです。

店舗は2階にありました。
1階の扉を開けるとすぐに階段があり、階段を上がってきたところにレジがあります。

知人が厨房でステーキを焼き、10分後にはお弁当を2つ用意しました。
アルバイトスタッフがそのお弁当を手提げ袋に入れ、レジ横のテーブルに置きました。

そろそろ受け取りに来る頃かな。
そう思って待っていたのですが、お客さんは現れません。

弁当が冷めてしまうなと思っていると、アルバイトスタッフが声を発しました。

「あれっ!?」

レジ横のテーブルに置いておいたお弁当がなくなっていたのです。

いつ取りに来たのだろう?
まったく人の気配はありませんでした。

「お金が置いてあります!」

レジの脇にあるトレイに、お弁当の代金がちょうどで置いてあるのを、アルバイトスタッフが見つけました。

1階の扉が開けば、扉に取り付けてあるベルが鳴るはずですし、階段を上がってくれば床の軋む音も聞こえるはずです。

誰も入ってきた形跡がないのに、お弁当がなくなり、代金が置かれていたのです。

不思議なできごとでした。

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